悪いニュースは市場を揺さぶりがちだ。だが、不確実性は市場を転覆させうる。そして今、イランでの戦争には多くの疑問符がついて回る。
理由はこうだ。近年のいくつかの世界的な紛争とは異なり、この戦争は地域的な影響にとどまらない。世界中の国々が、中東からの財やサービスに依存している。結果として、この戦争はエネルギーの不安定化、サプライチェーンの変動、そして資本市場全体の慎重姿勢をもたらしている。
投資家と起業家は、こうした経済・地政学的な波紋を感じ取っている。両者と話した限りでは、それぞれが異なる(とはいえ理解できる)形で反応している。しかしそれは、必ずしも悪い知らせではない。とりわけ、変化する市場で先手を打つ覚悟のある起業家にとってはなおさらだ。
中東地域について投資家が語っていること
私が話をした投資家たちは、ごく標準的な「様子見」の姿勢を取っている。完全に引き揚げているわけではない点は、起業家にとって良い材料だ。ただし彼らは、より明確なユニットエコノミクス、より長い資金繰り余力(ランウェイ)、そしてより防御力の高い参入障壁(モート)を求めている。
戦争が始まる前ならすばやく飛びついていたかもしれない案件にも、今はすぐに踏み込もうとしない。代わりに、意思決定を裏づける証拠をより多く求める。これは現実的で実務的なスタンスである。こうした局面で資本が消えるわけではない。ただ、より選別的になるのだ。
投資の実行が遅いサイクルに入っている以上、投資家が「成長第一主義」の発想でスタートアップに乗ることは期待できない。資本を守るため、起業家に対してより多くの質問を投げ、より多くの情報を要求するだろう。そしてレイターステージのラウンドに関わる投資家は、リスクを再評価し、条件を見直す可能性が高い。
起業家が直面する現実
起業家も、戦争や投資家の反応から無縁ではいられない。私は、投資家の期待により応えるためにランウェイを24カ月、あるいは30カ月に延ばす起業家を多く見てきた。また、損益分岐(ブレークイーブン)に到達するまでの道のりを加速させる例も見ている。賢い投資家と同様、賢い起業家はパニックに陥らない。シナリオプランニングをしているのだ。



