トランプ政権の目標達成への道筋は?
トランプ政権は、イラン軍事作戦の目標をどのように達成するつもりなのだろうか。ヘグセスは米国がイランに「ミサイルの雨を降らせる」と豪語した一方、地上部隊の派遣は否定した。目下の状況を利用しようと試みるイランのクルド人民兵が米国にいくらか助力するかもしれないが、専門家はイラン北西部のクルド人支配地域の領域を越えて民兵が前進してくるのは難しいとみている。
トランプ政権にとって最良のシナリオは、クルド人勢力がイラン軍司令官に部隊と資源の転用を強いる一方、それに触発されたイラン国内の他の民族集団がそれぞれ蜂起し、イスラム体制に反旗を翻すことだ。
実際のところ、もしトランプ政権のイランでの目標がベネズエラでの展開をはるかに超える体制転換であるならば、空軍力だけでこれを達成するのは難しいだろう。歴史上、空軍力を用いて強制的に体制を転換させた実績にはほとんどの場合、地上部隊の投入が不可欠だった。
1999年に北大西洋条約機構(NATO)がユーゴスラビアに独裁体制を敷くスロボダン・ミロシェビッチ大統領(当時)と傘下のセルビア人民兵組織からコソボのアルバニア系住民を保護するためとして実施した空爆作戦は、想定の10倍の航空機の投入と10倍の作戦期間を要し、民間人2000人の犠牲を伴う結果となった。イランはセルビアよりもはるかに強大な敵だ。当時のセルビア共和国の人口は800万人未満だったが、イランの人口は9300万人に及ぶ。
さらに、イランの体制はベネズエラの政権よりもはるかに複雑で広範だ。テヘランでベネズエラの首都カラカスと同じ結果を得るというのは不可能に近いだろう。だが、トランプはそう考えてはいないようだ。ハメネイ師の後継者選びに「私が関与しなければならない」とまで口にしているが、次期最高指導者を選出する聖職者88人からなるイラン専門家会議は断固拒否している。
トランプが望むのが体制転換なのか、軍事力を粉砕された従順なイラン政権なのか。いずれにしろ、明確かつ実行可能な出口戦略がないままでは、この紛争が長期化し、戦費が嵩む状況は避けられないだろう。


