リーダーシップ

2026.03.06 21:17

時代遅れのHRシステムが、変わりゆく労働力に対応できない理由

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多くの組織──おそらくあなたの組織も──は、人とそのキャリアの軌跡についての古い理解を反映したHRシステムやプロセスに依然として頼っている。そうした仕組みは、メンバーが予測可能な年齢で退職し、若い労働者がその役割へと昇進していく時代のために設計されたものだ。

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それは鐘形の人口構成の世界では機能したのかもしれないが、今日の急速に変化する人口動態が、そのモデルを根底から覆しつつある。時代遅れであるにもかかわらず、こうしたHRシステムとプロセスの遺物は残り続けている。

従来の定年年齢を大きく超えて働き続けたいと望む高年齢層が多いことが、ますます明らかになっている。経済的な必要性と自己実現の双方に後押しされ、働き続けたいという意欲は勢いを増している。

HRシステムの変革

迫り来る人口動態と社会の変化を踏まえると、ほぼすべてのHRシステムとプロセスは、今すぐ更新が必要だろう。できれば昨日に。少なくとも明日までには。

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例えば、現在の後継者計画のモデルは、年齢を重ねたプロフェッショナルを「不可欠な存在」ではなく「つなぎ」として扱い続けている。なぜ、年長の働き手を一緒くたに切り捨てるのか。

退職の代わりに、キャリアの次の段階として別の選択肢はあり得ないのか。評価制度もまた、累積的な専門性より短期的成果を優先することで問題を深刻化させている。年長の働き手にも同じパフォーマンスマネジメントモデルを適用する必要があるのか。さらに言えば、年齢やキャリア段階を問わず、制度全体を改善できないだろうか。

データもまた、嘘をつかない。あなたとあなたのHRシステムは、変化への備えが不十分である。

例えば、ボストンカレッジの高齢化と労働センターは、世界の組織のうち25%未満しか、変化する労働力の人口動態を踏まえてHR慣行を適応させていないと報告している。

さらに悪いことに、世界経済フォーラムの「Future of Jobs Report」は、世界の雇用主のうち40%しか、高齢化と労働年齢人口の減少を「自社のビジネスにおける変革的な力」として認識していないと指摘している。

この「認識」と「変化」の乖離は、ギャップの存在を示している。HRシステムやプロセスは全面的な見直しが必要かもしれないだけでなく、退職に関する方針も再検討を要する可能性がある。

  • 年長の働き手を採用、または再雇用するための方針はあるか。
  • 年長の働き手が役割を段階的に縮小しながら移行できる、限定的または段階的な退職の選択肢を提供しているか。
  • キャリアパスが、一定の年齢で上昇移動が終わることを前提とし、成長に期限があるかのように年長の働き手を脇に追いやっていないか。

社員の多様なニーズを統合するHRシステムやプロセスの変革がなければ、組織は変化に向けた巨大な好機を逃すリスクを負う。

役割のルーレット

人材のミスマッチは、組織が直面する最大級の課題の1つであり、とりわけ変化する人材プールの重要性を認識し始めた局面で顕在化する。

重要ポジションを誰が担うかという判断は、戦略的整合性よりも「空いているかどうか」で下されることが少なくない。その結果、本人が担う準備のない役職に就くことになりかねない。

DDIが2023年に実施した調査によれば、主要人材の代替という観点で、自社のリーダー層の「ベンチ」の強さに自信があると回答した企業は12%にとどまった。これは5年間で30%の自信低下に相当し、2018年の18%から落ち込んでいる。

さらに、若手リーダーの36%が、リーダー職に就く際に準備不足を感じたと回答しており、十分なリーダー育成が欠けていることを示している。

若手であれ、中堅であれ、年長であれ、この「役割のルーレット」はあまりにも多くの社員に影響を及ぼしている。

協働と学習のジレンマ

もう1つ検討すべき組織のギャップは、世代をまたぐ効果的な協働の不足である。機会損失と捉えるべきだ。長年の経験を通じて得られる暗黙知は、制度化された仕組みが欠けているため共有されないことが多い。適切な協働の実践や、より良い学習モデルによって、この穴は埋められる。

例えば、2023年のHarris Pollの報告は、カナダ企業の4分の3が過去2年間に社員の退職を経験しているにもかかわらず、企業の3分の2がメンタリングプログラムを整備していなかったことを示唆している。

メンタリングやコーチングの仕組みにアクセスできなければ、あらゆる年齢層の社員にまたがる知識と知性はサイロ化(または喪失)したままとなり、世代の能力に関するステレオタイプも温存される。

皮肉なことに、デジタル学習プラットフォームは問題を解決するどころか、悪化させているように見える。多世代が共存する職場のニーズに応えられていないことが多い。年長の働き手に対する適切なスキル向上(アップスキリング)や学び直し(リスキリング)の不足も、別の問題である。

当然ながら、SHRMによれば、社員のアップスキリングまたはリスキリングに効果的だと回答したHR担当者は21%にとどまったという

組織に「Age Debt(年齢負債)」の蓄積が進むほど、若手の働き手は必要な準備がないままリーダー職に早期に押し込まれ、複雑な力学の中を乗り切ることを期待されがちだ。一方で、深い組織知と結晶化された知性を持つ年長の働き手は、その専門性を過小評価するHRの意思決定フレームワークによって見過ごされたり、脇に追いやられたりする。

さらに悪いことに、勤続年数によって給与が高い可能性があるため、コスト削減を目的に解雇されることになる。この種のミスマッチはチームを不安定化させ、組織の有効性と生産性を損なう。

では中堅のプロフェッショナルはどうか。彼らは、そもそも何が起きたのかを必死に理解しようとする羽目になる。

社員のために学習環境と協働システムを刷新できないことは、知識ギャップを固定化し、年齢多様性のあるチームが持つ潜在力を損なう。

共有を促し、学習モデルを改めて導入するための意図的な戦略がなければ、組織は自らの「Age Debt」の火に、さらに油を注ぐリスクを負う。

forbes.com 原文

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