3月5日の午前11時10分、スペースポート紀伊(和歌山県串本町)からカイロス3号が打ち上げられたが、リフトオフから68.8秒後に機体は崩壊し、失われた。
当日行われた記者会見によると、機体は予定された経路を正常に飛行していたという。しかし、高度29.9kmに達した時点で自律飛行安全システムが作動。自律的な飛行中断措置によって機体が破壊された。射場をはじめとした地上施設や海上には被害は発生していない。
スペースワンは、2024年3月にカイロス1号、同年12月に2号を打ち上げたが、いずれも上昇中に機体に不具合が発生し、失敗していた。今回機体に発生した支障は、現時点においては未確認だが、過去2回とは違う部位に発生したと予想される。
自律飛行安全システムの誤作動か?
定刻通りに打ち上げられたカイロス3号機は、射場から南東方向の太平洋上に向けて上昇を開始した。しかし、リフトオフから68.8秒後、自律的に機体を崩壊させる安全システムが作動。その3秒後には機体から噴出する白煙が見られ、上昇経路を逸脱していった。
その後、カイロスはタンブリングと呼ばれる不規則な回転運動を見せたが、このとき機体はすでに崩壊しており、複数の部位に分かれて落下していくのが確認された。正常に飛行を続けていれば、打ち上げから2分20秒後に第1段を分離するはずだった。
スペースワンの副社長、関野展弘によると、今回の事案においては、2号機で不具合を起こした制御系をはじめ、機体自体には異常は見られず、機体が崩壊したのは自律飛行安全システムの誤作動によるものと思われ、それを示すデータもあるという。一般的には、固体燃料ロケットは液体燃料ロケットに比べて、燃焼時の振動や衝撃が激しくなる傾向にある。固体燃料ならではのこうした特性が、コンピュータやセンサーなどの搭載機器に影響を与えた可能性も考えられる。
自律飛行安全システムとは、地上局の人員が介入することなく、機体が自律的に飛行状態を検知・判断し、飛行を中断するシステムのこと。一般的なシステムでは、機体に仕込まれた火薬を炸裂させることで機体を崩壊させ、それ以上の推進・飛翔を中止することで安全を確保する。カイロスの場合は、1段から3段の各段にその装置が搭載されていた。
カイロスの同システムは2系統に分かれており、一方のシステムがなんらかの異常を起こした場合には、もう一方の系統がすぐさま飛行中断措置を施す仕組みになっているという。これは2系統ともに作動しなくなった場合に、飛行を中断する術がなくなる事態を回避するためだ。ただし、会見の時点では、同システムが誤作動を起こした原因は不明とされた。同社は今後、より精密にテレメトリ(遠隔測定)データを分析し、事故原因の究明にあたる。



