映画

2026.03.05 17:00

AIはハリウッドを殺すのか?「今こそ本気で乗れ」と伝説のプロデューサーが語る理由

Shutterstock.com

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現在のハリウッドは、激動の最中にある。エンターテインメント業界はここ数年、ストリーミングへの大規模な移行を経験してきた。そして今、パラマウントとワーナー・ブラザースが統合を計画するなど、世界的・国内的にも同様に大規模な業界再編が進んでいる。そこに、誰でもプロンプト(指示文)一つで映画を作れる可能性を秘めたAIという、さらに大きな破壊的変化が加わった。業界には激変と不確実性の渦が巻いている。

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最近、TikTokの親会社が提供するソフトウェア「Seedance 2.0」を使い、子供だましのように簡単な2行のプロンプトで作成された「ブラッド・ピットとトム・クルーズが乱闘するAI生成動画」が爆発的に拡散されたことは、その不安の火に油を注ぐ格好となった。

こうした状況の中、世界初の24時間グローバル・エンターテインメント・ニュースネットワークであるE! Entertainment Televisionの創設者ラリー・ネイマー(著名メディア実業家・プロデューサー)は、今こそAIに全力で飛び込むべきだと主張している。

しかも彼は、AIは見かけほどの「終末装置」ではないとも付け加える。筆者は最近、TechFirstポッドキャストで彼にインタビューする機会があり、AI、ハリウッド、そしてエンターテインメントの未来についての考えを聞いた。

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ハリウッドの大半がAIを死ぬほど恐れている中、ラリー・ネイマーはそれを創造性のためのレッドブルのように一気に飲み干したいと考えている。そして、AIがハリウッドの終末装置になるとは少しも恐れていない。

「終末論は何度も見てきました。ケーブルテレビが地上波に取って代わる、有料テレビが映画館に取って代わる、という話が延々と続いてきました」とネイマーは語る。「そして実際、そうしたものはすべて業界の構成要素の一部に組み込まれていったのです」。

つまり、彼にとってAIは単なる新しいツールにすぎないということだ。

「ずっと昔、脚本を書かなければならなかったときは、タイプライターと小さな修正液のボトルがありました。誰かが実際に読める段階まで脚本を仕上げるのに、だいたい3か月かかっていた。それが突然、ノートPCとワープロが出てきて、3か月かかっていたことが5日で済むようになったのです」。

いま、彼が新しいテレビサービスやシリーズを分析する場合、AIは5日分の作業をだいたい2〜3時間に短縮してくれる、とネイマーは筆者に語った。

そしてそれは、素晴らしいことだという。

「同じ仕事に対して同じ報酬を得られる仕組みがあるとしたら、これを好きにならない理由があるでしょうか。時間が増えます。もっと多くの仕事をこなして、もっと稼ぐこともできます。小さな孫と過ごす時間も増やせます。スペイン語を学ぶこともできます。人間にとって最も価値あるもの——この地球で過ごす時間——を取り戻せるのです」。

だが、それは本当なのか。

技術基盤の上に成り立つあらゆるビジネスと同様、ハリウッドは常に変化し続ける業界だった。スタジオ・システム(大手映画会社による垂直統合型の制作体制)はケーブルテレビへと移行し、DVD(そしてBlu-ray)はストリーミングの主流化とともに脇へ追いやられた。しかし多くの人にとって、今日の変化はこれまでとは質が異なると感じられている。技術的な変化と構造的な変化が同時に進行しているからである。かつては豊富な資金と優秀な人材を抱える企業にしかできなかったこと——高い品質で豊かなビジュアルストーリーを語ること——が、今後は(そして将来的には)誰にでも可能になるかもしれないのだ。

少なくとも、ピット/クルーズの動画を見たときのレット・リースの最初の反応はそうだった。

『デッドプール』『ゾンビランド』『ツイステッド・メタル』『デッドプール&ウルヴァリン』などの代表作を持つ脚本家・プロデューサーのリースは、Xに「言いたくはないですが、おそらく私たちは終わりです」と投稿した

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翻訳=酒匂寛

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