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2026.03.04 12:08

結婚後に起業した創業者が知るべき「ポストナップ」とは

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HelloPrenupのCEOであるJulia Rodgersは、協調的な婚前契約を推進し、結婚における金銭面のコミュニケーションを促している。

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創業者は、事業を始めた後に婚後契約(ポストナップ)を必要とするのか。

家族法とビジネスの分野で注目を集めている問いがある。既婚者として事業を始める際、婚後契約を結ぶことは賢明な選択なのかという問題だ。答えは「イエス」かもしれない。多くの状況において、婚後契約は将来起こり得る事業の所有権をめぐる不要な法的争いと紛争を避けるうえで有益になり得る。

以下では、婚後契約とは何か、適切に設計された契約が創業者にもたらし得る効果、そして弁護士や配偶者との話し合いを進めるにあたっての考慮点について掘り下げる。

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婚前契約と婚後契約の違い

婚後契約について混乱が生じやすい主因の1つは、それが実際に何であり、婚前契約(プリナップ)とどう異なるのかという点にある。

婚前契約は、婚姻前に2人の婚約者が署名する契約である。婚後契約は、婚姻期間中のいかなる時点でも、配偶者同士が署名する契約である。両者は概ね、財産分与、配偶者扶養(州によっては対象となる)、負債、その他の金銭事項など、同様のテーマを扱う。

もう1つの重要な違いは、州によっては婚後契約が裁判所からより厳格に審査され得る点である。つまり、いずれかの当事者により争われた場合、婚後契約はより批判的に精査される可能性がある一方、婚前契約は裁判所から同程度に厳しく分析されないことがある。平たく言えば、一般に婚前契約のほうが婚後契約よりも執行されやすいということだ。

ただし重要なのは、婚後契約の法制度と執行可能性は州法により規律され、州ごとに異なるという点である。婚後契約と婚前契約をまったく同一に扱う州も少数ながら存在し、その場合、執行可能性の見込みに差はない。また一部の州では、婚前契約には不要でも、婚後契約には法的代理人の関与や公証を要するなど、追加要件が課される場合がある。

ビジネス上の観点

婚後契約は、事業オーナーに複数の形で影響を及ぼし得る。第1に、婚後契約は、事業の所有権、事業の成長、将来の事業収入が、離婚の際に分割対象となるのを防ぐことができる。たとえば、婚姻期間中の成長について、他方配偶者に何らかの貢献があったとしても、事業オーナーの特有財産として維持されることを明確化できる。

第2に、婚後契約は、離婚に伴うリスク(強制売却、評価額をめぐる争い、財務情報の対外流出など)を限定することで、事業の混乱を回避し得る。たとえば、離婚訴訟は、公の場での対立や私的情報の対外流出につながり得るほか、元配偶者に事業価値相当を支払うために強制売却が生じる可能性もある。

創業者が弁護士と話し合うべきこと

では、創業者を守るための「適切に設計された婚後契約」には何が盛り込まれるべきなのか。主目的は事業を守ることにある。創業者が弁護士と議論すべき点は以下のとおりだ。

1. 事業持分の所有権を明確に定義する

最初のステップは、事業の所有権を明確に定義することである。事業が特有財産なのか、あるいは一部共有なのかを議論し、婚後契約に明確に記載できるようにする。これは、カリフォルニアのような共同財産州では特に重要である。共同財産州では、婚姻中に開始された事業は一般に共同財産とみなされ、50対50で分割され得るためだ。

2. 事業の価値上昇と買い取りを扱う

単に「ABC社は配偶者Xの特有財産である」と記すだけでは十分ではない。私の経験では、適切に設計された婚後契約は、事業の成長、価値上昇、そして/または買い取りについても扱う。多くの創業者は事業価値を高めるために起業するのだから、この部分は婚後契約において極めて重要である。特有資金および/または共同資金が事業の成長に投入された場合にどうなるのか、といった点をどのように扱うのか、弁護士に確認することが創業者にとって重要となり得る。

3. 労務出資(スウェット・エクイティ)から事業を守る

カリフォルニアなど多くの州では、技能や労力、しばしば「スウェット・エクイティ」と呼ばれるものが、資産に対する持分を生み出し得る(婚姻期間中の夫婦の努力によって一方配偶者の特有財産の価値が増加した場合、その増加分は一般に、特有財産としての資本投下と共同の努力の間で按分されなければならない、とするPereira v. Pereira, 156 Cal. 1(1909)を参照)。

言い換えれば、創業者ではない配偶者が、たとえ金銭的でなくとも事業を手伝った場合、意図せぬ形で事業に対する持分を得てしまう可能性がある。創業者はこれを婚後契約で放棄させることができるため、検討する価値がある。

配偶者との婚後契約の話の切り出し方

多くの創業者は、婚後契約を求めること自体が論外だと感じているかもしれない。結婚生活はきわめて安定しているかもしれず、婚後契約を持ちかけることが相手の不安を招く恐れもある。だが、適切な形で話を切り出す方法はある。

1. 「なぜ」から始める

創業者は、なぜこの契約を整備したいのかについて率直であるべきだ。事業上のパートナーシップが運営契約を必要とし得るのと同様に、結婚もまた条件の明確化を必要とする(そうでなければ、裁判官が夫婦に代わって決めることになる)。

2. 公平性を明示する(片務的ではない)

創業者は配偶者に対し、婚後契約は法律上、公平性を要することを伝えられる。すなわち、契約は一般に、何らかの形で双方に利益をもたらさなければならない(「約因(consideration)」と呼ばれる)。

3. 婚後契約なしで進むことの法的リスクを明確にする

婚後契約がなければ、離婚時に事業やその他の資産がどう扱われるかは、創業者が居住する州法および/または地域の裁判官が決める。早い段階でこうした契約を通じて財務面をコントロールすることで、結末の不確実性を回避できる。さらに、婚姻に何かが起きた場合、多額の訴訟と弁護士費用につながり、関係者全員に負担をもたらし得る。

結論

婚後契約は、離婚が起きた場合に備えて、創業者と事業を守る有効な手段となり得る。婚後契約がなければ、事業は評価額をめぐる争い、強制売却、流動性の問題、機密性の問題など、さまざまな形で混乱にさらされ得る。加えて、争いが激しい離婚手続を進めながら事業を運営することは、会社にとって大きな負担となる。こうした可能性から身を守るために婚後契約を整備する第一歩は、弁護士に適切な問いを投げかけることにある。

ここで提供する情報は法的助言ではなく、特定の事項について弁護士の助言に代わるものでもない。法的助言については、あなたの具体的状況に関して弁護士に相談すべきである。

forbes.com 原文

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