リーダーシップ

2026.03.04 02:18

嵐が襲うとき、リーダーがチームに果たすべき責務

Anna JankowskaはRTB HouseおよびAdlookのグローバル・パートナーシップ担当エグゼクティブ・バイスプレジデントとして、高いインパクトを生むビジネス・パートナーシップの構築を主導している。

advertisement

第33代大統領ハリー・トルーマンは、リーダーであることを愛し、その責任を謳歌しているように見えた。彼はこの精神を、あらゆるCEOがオフィスの壁に貼っておくべき4つの言葉に要約した。「The buck stops here(責任はここで止まる)」。揺るぎない胆力をもって、トルーマンは何よりも自分が責任を負うのだと受け入れた。厳しい役回りである。

しかし、トップであることが厳しいのは昔から変わらない。むしろ今日、その状況は一段と深刻だ。最新の研究は、プレッシャーが強くリスクも高いリーダーシップの窮地が、孤独と孤立を生みやすいことを示している。さらに、変化への対応を求める投資家からの圧力が増すなかで、CEOはこれまでになく多く早期退任している。

ビジネスの世界では、好況期のリーダーシップ——四半期の勝利や新製品のローンチ——について語るのが好きだ。だが、リーダーシップが最も重要になるのはそのときではない。すべてがうまくいかず、危機が襲い、採用を凍結し、給与の上限を設け、人々に「世界が変わる」と告げなければならないときにこそ、リーダーシップの真価が問われる。

advertisement

ゆえにリーダーは、権威を行使するだけでなく、それを示さなければならない。「責任はここで止まる」と言うだけでは足りず、実際にそう見えなければならない。そして困難な時期に組織を導くには、経営者の言動だけでは足りない場合が多い。

作家マヤ・アンジェロウの言葉としてよく引かれる一節は、危機の時のリーダーシップにとりわけ当てはまる。「人はあなたが言ったことを忘れ、あなたがしたことを忘れる。しかし、あなたがどのような気持ちにさせたかは決して忘れない」。困難をどう切り抜けるかを人々が見て、成果は生まれる。重要なのは、あなたが何を言ったかではなく、事態が悪化するなかで、あなたが彼らをどんな気持ちにさせたかなのだ。

リーダーは最も厳しい局面でも存在意義を保てる。株主向け指標という意味だけでなく、文化としての記憶、有効なビジネス技能の継承、組織の耐久性の形成においても、だ。

リーダーでありマネジャーである私には、忘れられない面談がある。最高の成果を出していた部下の1人が、手を震わせ、ほとんど言葉にならない状態で私の向かいに座っていた。彼の仕事ぶりは、この6カ月でスター級から惨憺たるものへと転落していた。上司は彼を辞めさせたがっていた。簡単な判断——安全な判断——は、解雇することだった。だがその瞬間、ここにはやるべき仕事があり、やがて報われるはずだと直感した。あの最悪の面談の後に重ねた対話と、軌道を戻すために注いだコーチングと時間は、私たち2人のキャリアを変えた。今、彼は当社のNo.1市場を率いている。後に彼の妻は、私が彼らの結婚を救ったと言った。だが真実を言えば、私は何も救っていない。CEOであれチームリードであれ、人が苦しんでいるときにすべてのリーダーがすべきことをしただけだ。私はそこに居合わせたのである。

コロナ禍の終息以降、リーダーシップをめぐって、「タフガイ」的な成果重視のパラダイムと、共感的な「人間中心」のアプローチという両極の間で、文化戦争のような対立が生まれている。どの人物像が最高のパフォーマンスを引き出すのか。議論は役員会議室からビジネス面まで沸騰している。真実はもちろん、その中間のどこかにある。だがCEOの退任が増え続ける環境で、あらゆる階層のリーダーはどうすれば存在感を保てるのか。

1. プレッシャーの逆説を理解する

優れたリーダーは人を押し上げる。自分では出しきれないと思う以上のものを求める。だが、相手を無価値だと感じさせる一線は決して越えない。私はこれを「健全なプレッシャー」と呼ぶ。目の前の一人ひとりに対し、精神を折るのではなく成長を促すために、どれだけ押すべきかを正確に見極めることだ。優れたコーチは、強さを育てる不快感と、けがを招く痛みの違いを知っている。

2. 守れない約束はしない

偉大な数学者リチャード・ファインマンは、すべての答えを持ち合わせていないことに正直である必要性と、その正直さが生み出す可能性を説いた。彼はこう述べている。「私は疑いと不確実性と未知のままで生きていける。間違っているかもしれない答えを持つよりも、知らないままで生きるほうがずっと面白いと思う……」

いわゆる「限界の受容」は、リーダーシップにおける中核的な強みである。知らないことを認め、弱さを共有することは、即座の信頼を勝ち取る。「まだすべての答えがあるわけではない」と言いながらも、それを見つけ出すという揺るぎない自信を示すことはできる。嵐の存在を正直に語りつつ、それを乗り越えると約束することはできる。

3. 確信が放つカリスマ性を示す

私が培ってきた最も強力なリーダーシップ・スキルは、自分の直感を恐れず、それを未来への確信へと転換することだ。人々がそれを見ると、すぐに希望を感じ、そこから信頼が生まれる。「いいか、私たちは一緒にこれを乗り越える。そしてあなたは以前にも増して良くなる」と誰かに言うなら、嘘であってはならない。取り繕ってもいけない。自分の判断を徹底的に信じ、あなたの自信が彼らの自信になるほどでなければならない。

4. 言葉と媒体に注意を払う

「3D」のコミュニケーションを取り入れる。シニア層であれば、メール、動画、Slack、ソーシャルメディアを用いてチームに届くようにする。とりわけ動画は、人間的なつながりを生み出すうえで強力である。対話を育み、相手が誰であろうと、その視点に対して完全に開かれた姿勢を示すことだ。何より重要なのは、「私たち」「われわれ」といった集合的な言葉を使うことである。これが目的の共有感を強め、不確実な時期に不可欠な心理的安全性をもたらす。

危機下のリーダーシップは、命令と統制のアプローチを捨て、人間中心の意思決定へと舵を切る。脆さを通じて強さを示し、限界を率直に認める。変化する状況を捉える俊敏さを備えつつ、明確な北極星となるビジョンを提示する。そして共感と感情知性を自然体で扱う。

知的・感情的なレジリエンスという資質は、分析力や直感と相まって、ビジネススクールが教える類のものではない。偉大なビジネスリーダーは、偉大な科学者と同様、自分は巨人の肩の上に立っているのだと、賞賛する人々に素早く言い添えることが多い。彼らが優れているのは、彼らを鼓舞した最良の人々から学んだからである。そして多くの場合、その「最良の人々」とは、危機のさなかにチームへ向けて「責任はここで止まる」と素早く確信させた人物だった。

forbes.com 原文

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事