ここから重要なニュアンスを分析しよう。
AIエージェントは、人間の労働力を雇うことの利点と欠点を計算的に比較検討する必要がある。人間の労働力は、扱いが難しく混乱しがちだ。別のAIエージェントで達成できるタスクであれば、他のAIを使うほうが容易で手間も少ない可能性が高い。人間の労働力を使おうとするAIエージェントは、他のAIではできない、相当にハードルの高いタスクを抱えている必要がある。
おそらく、AIエージェントが割り当てるタスクは、人間が持つ特性や能力で、他のAIエージェントにはないものを活用するのだろう。タスクが人間の創造性を必要とし、AIでは同等にできないのかもしれない。あるいは、AIエージェントが実行できない物理的行為を伴うのかもしれない。などなどだ。
とはいえ、別のAIエージェントを使うコストと人間の労働力を使うコストの比較も、重要な要因である。仮に、あるタスクが別のAIエージェントでも人間でも実行できるとする。別のAIエージェントを使うにはコストがかかるはずだ。人間を使うコストのほうが安いなら、作業を成し遂げたいAIエージェントは選択を迫られる。コスト削減は、人間の労働力を使うに値するのか。
記録的なスピードで進展するAIエージェント
人間が他の人間に下請けとして仕事を委託する場合でも、同様のステップを踏むだろう。ゆえに、これは新しい話ではない、と主張したくなるかもしれない。人間の上司をAIエージェントの上司に置き換えただけで、大した話ではないと。
判断を急いではならない。
この役割のAIエージェントには、次のことができる。
・タスクを迅速に分解する
・人間の労働力を世界規模で並列化する
・コスト、速度、可用性を最適化する
・24時間365日稼働する
これにより、生産性は劇的に高まり、調整に重みのある産業における摩擦を低減し得る。
では、どのような状況でAIエージェントは人間の労働力へ傾くのか。すでに述べたとおり、創造性は一因であり、もう1つは物理的活動である。
注目すべき要因は次のとおりだ。
・物理的行為
・文脈に基づく判断
・感情の微妙さ
・曖昧な状況での創造性
ただし、人間の労働力を活用するうえで、これらが不可侵というわけではない。例えば、ロボットの腕や脚、手や足などを備えたヒューマノイドロボットの登場が徐々に見え始めている。そうしたヒューマノイドロボットは、現在人間が担っている多くの作業を実行できるようになるだろう。AIエージェントが物理的活動を必要とする場合、ヒューマノイドロボットにタスクを命じるか、人間をレンタルするかの選択がなされるかもしれない。


