遠山:自分とはアプローチが違ってめっちゃ面白いです。僕はひとりの卓越性に引かれて、そのアーティストが熱量をもったままデカくなることを支援します。ひとりの天才にまわりの機能を合わせるテーラーメイドなやり方だから再現性はないし、スケールすると言っても天井があるのが課題でもある。
そのこととかかわってきますが、僕の問題意識のひとつはメジャーとインディペンデントの中間が抜けているということなんです。音楽でいえば、お金をかけるメジャーのやり方が歴史的にある一方、ひとりでベッドルームから配信するクリエイターも無限にいるのに、その間を支援するサービスや事業者の層が薄い。アートでも、メガギャラリーと美大生のグループ展はあるけど社会的なインパクトがある中間的なインフラやプラットフォームの存在が薄い。
CANTEENは銀行や個人からの借入のほかに、25年6月に私募債で6600万円を資金調達し、その資金で専属のアーティストやクリエイターをサポートしています。リスクマネーにはエクイティもありますが、本質的に権利の所在がものをいうクリエイティブビジネスとは相性が悪い。一方、デット的なお金の貸し借りならアーティストが権利をもったまま投資家は安定的に利益を得られる。アーティストは権利をもってお金持ちになってもらって、僕らもレベニューシェアで成果に応じて報酬をもらう。ざっくり言えばそんなスキームをつくっています。
産業全体にかかわる話なので、本当は大企業が内部留保を使って同じような中間を厚くする取り組みをしてくれるといいのですが、大企業の論理として利益率も悪いし何よりめんどくさすぎるのも理解できる。なのでまず僕らが26年にアーティストやその周辺事業者向けのデットファンドをつくろうと考えています。これができれば、インディペンデントでやっているクリエイターが熱量をもったまま大きくなっていく過程をインフラ的にサポートできる。世界の各都市で2000〜3000人を集客できるクリエイターが増えてくれば、日本のエンタメ・クリエイティブ産業にも厚みが出てくるのではないでしょうか。
屋代:メジャー側としては耳の痛い話です。ただ、そこは役割分担でしょうね。メジャーとインディペンデントの二元論をするつもりはないのですが、メジャーは自分ひとりではできないこと、そしてひとりの人生の時間軸ではできないことを会社や業界のパワーを使ってやれるし、そこにモチベーションを感じる人がフロントに立ってやればいいのかなと思います。
栗林:CHOCOLATEはまさに中間帯で戦ってきた会社で、この規模感の勝負が“いかに採算を取るのが難しいか”を痛感してきました。自分たちだけではありません。周りには、圧倒的な熱量で作品をつくったのに、ビジネスとしては失敗してしまった例も山ほどあります。だから再現性の高い方法論を確立して熱量が報われやすい道をつくろうとしているのですが、僕は遠山さんのようなファイナンスアプローチはしてこなかった。中間で戦うクリエイターたちが報われる経済圏は日本のエンタメ・クリエイティブ産業にプラスだし、僕自身、これまでの挑戦が肯定された気がしました。クリエイターたちも勇気をもらったんじゃないでしょうか。


