「再現性」はつくれるか
──今それぞれの立場でエンタメ・クリエイティブを世界に届けようと挑戦されています。
屋代:今、ソニーミュージックグループのなかのミュージックレインの代表を務めており、会社としてはアーティストマネジメント事業と音楽レーベル事業をしています。テーマはふたつ。まずひとつは、声優のグローバルスターを生み出すこと。YOASOBIの楽曲を海外ファンの方がみんな日本語歌詞で歌ってくれていた景色を見て、音楽だけでなくアニメやゲームのセリフでも同じことが起こりえると思っていて。そのセリフを実際に発信できる存在としての声優がグローバルスターになる未来をつくっていきたいなと。代表の僕の役目は、スターがいつ生まれてもおかしなことがない磁場をつくること。これまでの常識にとらわれず多様な領域のクリエイターと交わることで、声優界でも「小説×音楽」のYOASOBIのような存在が生まれるかもしれません。
もうひとつは、ファンダムの継承です。ありがたいことに当社のアーティストは多くのファンの方々が応援してくださっていますが、その熱狂を継承していくことが重要です。10年20年、あるいは会社単位だと30年50年、熱量をキープしながら応援し続けてもらうのは簡単ではない。その方法論を見つけて熱量を継承していくことが、先ほどのシーンの話にもつながっていくと思います。
栗林:僕は監督を務める劇場アニメ『KILLTUBE』が26年に完成予定です。これは、自分たちがつくりたい世界をどれだけ成長させ続けられるか、その方法論を探る挑戦です。
『ハリー・ポッター』シリーズは、主人公が違うストーリーラインの『ファンタスティック・ビースト』が始まったり、テーマパークのアトラクションやゲームになったりして、世界観が拡張して愛され続けていますよね。そのように、これまでも「原液」が評価されて多様なプレイヤーがそこに参加してIPが成長していく事例はありました。これを方法論として確立すれば、世界で評価されて育ち続けるものができるはず。そう考えて作品制作を通して実験しています。
具体的に僕が意識してきたのは属人性からの脱却です。ひとりの天才に依存するのではなく、いかにチームで型をもってアイデアを詰め込み、新しい「原液」をつくれるか。それをキャラクターやストーリー、世界観のチームでそれぞれやって合体させたら、今まで観たことがないものができるんじゃないかと。これまで僕たちCHOCOLATEはさまざまなキャラクターIPや映画で再現性をもって面白いものをつくることに挑戦してきましたが、その知恵の集大成として挑んでいるのが、この劇場アニメです。


