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2026.03.02 10:12

CEOが不確実性に打ち勝つ方法──意思決定の加速

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多くの経営者が、不確実性は大きな問題だと考えている。カンファレンス・ボードが米国のCEOを対象に実施した調査では、2026年の最大の経済的懸念として不確実性が挙げられた。インテル、アメリカン・エキスプレス、ゼネラルモーターズ、IBMなどのCEOやCFOも不確実性について言及している。

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不確実性は、企業の意思決定において遅延として現れることが多い。より多くのデータ、より多くの分析、より長い承認期間を求めることによる遅れだ。ウエスト・モンロー・パートナーズの調査によると、「経営陣の意思決定を最も遅らせるのは、追加データや確実性を求める姿勢であり、次いでリスクや失敗への恐れが挙げられる」という。そしてもちろん、失敗への恐れがさらなるデータや分析を求める行動につながる。同調査の回答者である経営幹部たちは、意思決定を迅速化することで売上を1〜5%向上させられると推計している。

ビジネスプロセスの迅速化がリスクを軽減する

ビジネスプロセス、特に意思決定プロセスを迅速化することで、経済の不確実性がもたらす危険を軽減できる。企業は市場での需要を見込んで製品を生産する。たとえ受注生産であっても、買い手の状況は変わりうる。買い手が納品を拒否するか、納品を受けても支払わないケースがある。在庫向けの生産となると、リスクはさらに高まる。想定していた買い手が現れない可能性があるからだ。

関税、移民政策の変更、その他の政策転換が引き起こす経済の混乱は、将来の収益を期待して今お金を使う企業にとってのリスクを高める。

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変化するのは販売環境だけではない。コストも同様だ。建設コストは10年以上にわたり、図表が示すように12カ月間で0〜5%の上昇にとどまっていた。ところが2021年後半に急騰し、最終的には24%上昇した。グラント・ソントンのレポートは交渉上の問題をこう説明している。「契約締結後、資材購入時までに価格が2倍になった場合、請負業者は不都合な現実に直面する。利益ゼロや赤字の仕事を引き受けるわけにはいかないが、発注者も追加コスト(しかも予算外の可能性がある)を喜んで負担するとは思えない」

契約締結からプロジェクト完了までの期間を短縮すれば、価格変動リスクが軽減され、双方の企業にメリットがある。たとえ請負業者が資材価格上昇のリスクを負担するとしても、そのリスクは間違いなく入札価格に織り込まれるだろう。

ビジネスプロセスの迅速化は、リスク軽減だけでなくコスト削減にもつながる。

ビジネスプロセスを迅速化する方法

スピードを向上させるには、まずスピードを測定することが不可欠だ。これは営業サイクル、物理的な生産サイクル、新規プロジェクトの実施可否判断のいずれにも当てはまる。プロセスの開始時点が曖昧な意思決定もあるが、測定は完璧である必要はない。直感よりも優れていればよいのだ。

ただし、プロセスを測定するには、プロセスマップが必要となる。頭の中にマップがあると思っていても、実際に描き出して同僚と共有すると、想定以上に多くのプロセスが存在することに気づく場合がある。

プロセスマップと各プロセスの所要時間を把握したら、マネジャーは迅速化すべきプロセスの優先順位をつける。重要かつ時間のかかるプロセスが適切なターゲットとなる。実行段階に近づくにつれ、各プロセスや意思決定の責任者を明確にすることが極めて重要になる。出所不明のルール(文書化されたものも口頭で伝承されたものも含む)に従っている人々がいることはよくある。この手順を定めたのは誰か。コンプライアンス部門か、経理部門か、品質管理部門か、それともとうに退職した上司か。ルールを定めた人物と変更を承認できる人物を特定することで、一部のプロセスを迅速化できるようになる。

ベンチマーキングも活動の迅速化に役立つ。特定のプロセスに関する公開調査が存在する場合もある。ただし、より多くの場合、競合関係にない類似企業の担当者に電話で問い合わせるほうが有効だ。業界のカンファレンスに参加する良い理由の一つである。

スピードのために費用を払うことが理にかなう場合もある。建売住宅を建設する請負業者は、より早く、またはより迅速に作業を完了できる下請け業者により高い報酬を支払いたいと考えるかもしれない。マーケティングプログラムや製品開発を迅速化することで、状況が変わる前に収益を確保できる。

また、今時間を投資することで、将来多くの時間を節約できるケースもある。ある大手銀行の必須の財務レビューには、高給取りの幹部7人の時間が必要だった。私を含む数人の中堅マネジャーが開発したプロセス改革により、その委員会の時間を月2時間削減できた。この変更は1〜2カ月で投資を回収し、残りの時間削減分は純粋な利益となった。これらのステップについては、拙著『The Flexible Stance』の一章で詳しく解説している。

現在の状況は把握できているが将来は不確実な場合、実行を迅速化することでリスクを軽減できるのだ。

forbes.com 原文

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