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2026.03.01 11:13

なぜ最大の勝利は「居心地の悪さ」から始まるのか──コンセンサスより確信を

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ベンチャーキャピタルは常に投資の世界における異端児であった。大人になることを拒み、既存のルールすべてに挑むことに執着し、それでもなぜか、白鳥へと変わることができる唯一の生き物、あるいはまれにユニコーンへと変貌できる存在になってしまう「醜いアヒルの子」である。

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このカテゴリは、最も不確実性が高く、リソースは最も乏しく、カフェインに支えられた楽観主義が最も濃縮された状態で運営されている。それでもベンチャーキャピタルは、他のどの資産クラスよりも未来を形づくる存在となっている。

真実は単純だ。ベンチャー投資はアートである。もしそれがサイエンスなら、創業者は合理的に振る舞い、予測は正確になり、誰もピボットを「ワクワクする」とは表現しないだろう。しかしベンチャーでは曖昧さが常態であり、不完全さが出発点だ。混沌としている。予測不能である。そしてそれこそが、強いインパクトを生む理由である。

確信 vs. コンセンサス:2つのマインドセットの物語

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ベンチャーキャピタルにおける中心的な緊張関係の1つは、確信とコンセンサスの間にある。2つの哲学は共存し、競い合い、ときに、誰がタームシートに署名するのかをめぐって衝突する。

確信:他者が見落とすものに賭ける

確信とは、経験や好奇心によって磨かれた直感であり、市場の他の参加者が気づくよりもはるか以前に可能性を見抜くことを投資家に可能にする。確信が正しければ、明晰さ、集中力、そしてポートフォリオ企業が「一時的に『GTM戦略を再調整している』」ように見える局面でも冷静さを保てる類いのレジリエンスをもたらす。

しかし確信の影もまた長い。過信は投資家を盲目にしうる。確証バイアスは耳を塞ぎうる。そして部屋の中で自分だけが「イエス」と言っている状況は、雷雨の中の野原に1人で立ち、金属の棒を握りしめ、「全部うまくいく」と言い張っているような感覚になりうる。

コンセンサス:仲間がいる安心感

コンセンサスは、集団思考による温かな安心感をもたらす。秩序立っていて合理的で、社会的にも受け入れられやすい。皆が同意していると、意思決定はより安全に感じられる。しかしその安全性は、多くの場合、上振れだけでなく前進そのものも制限する。

コンセンサスは、機会が広く認知され、徹底的に分析され、部分的に過大評価された後にようやく到来しがちだ。過ちを防ぐことには非常に優れている一方で、卓越を阻むことにも同じくらい長けている。

この緊張関係を的確に捉えているのが、セバスティアン・ベーマーFirst Momentum Ventures)である。コンセンサスが意思決定を改善する領域と、投資家を群れの一員に変えてしまうリスクがある領域はどこか、と問われると、彼は「見た目以上に難しい問いだ」と語る。

その理由として彼は、ベンチャーの成果は7〜10年後になって初めて明らかになる、と指摘する。そうしたフィードバックが遅延する環境では、合意を最適化することは危険である。彼のチームは、新人投資家をコンセンサス志向に訓練しない。代わりに、盲点に挑み、本当に異なる視点を通じて意思決定を研ぎ澄ますよう促している。

共有のガードレールを築く

ベーマーにとって、コンセンサスの役割は狭いが重要である。それは「共有のガードレール」として最も機能する。明白なミスを避け、中核となる価値観を補強し、創業チームに求める最低要件について足並みをそろえることだ。非合理なまでの野心、卓越性の明確な兆候、本当に大きな市場で事業を営んでいること、といった特性は、集団としての合意の恩恵を受ける。

しかし、そうした基本を超えると、コンセンサスはたちまち制約になる。アラインメントは下振れを守るが、確信は上振れをつくる。不快で異論を唱える視点こそが、コンセンサスには決して生み出せない洞察を浮かび上がらせることが多い。

シェティル・ホルメフィヨルドSondo)も同意する。カルチャー面のガードレールに関して彼は、「ベンチャー投資家として最悪なのは、やったことによる失敗ではなく、やらなかったことによる失敗だ」と言う。「つまり、失敗する企業に投資したとしても投資額の1xを失うだけだが、次のFacebookを見送れば、1000xの上振れを取り逃がす。これは明らかにずっと悪い」というわけである。

この点を常に自分たちに言い聞かせることが、「お金を失うことをそれほど危険ではなくし、その結果として、大胆で風変わりなアイデアに時間を割きやすくする」と彼は語る。

居心地の悪さはシグナルである

ただし、居心地の悪さそれ自体が予測指標になるわけではない。悪いアイデアの多くは、もっともな理由があって居心地が悪い。

ベンチャーキャピタルが報いるのは快適さではなく勇気だ。コンセンサスはミスを避ける助けになるが、外れ値のリターンを生むのは確信である。最大の勝利は、その瞬間にはめったに安全に感じられない。気まずい沈黙や異論、そして「早すぎる」と思えるほど大きな意思決定から始まる。

なぜベンチャーは確信の上に築かれるべきなのか

結局のところ、イノベーションは安全からは生まれない。大胆な賭け、逆張りの思考、そして並外れた何かを追い求めるために間違える覚悟から立ち上がる。恐れと欲は常に投資のテーブルの周りに漂うが、確信はそれらの感情を生産的な方向へと導く助けになる。

共有のガードレールを保ちながら、情報に裏打ちされた確信を育むファームは、リターンを押し上げる希少な企業へのエクスポージャーを高める。ベンチャーキャピタルのファームが実務で、コンセンサスと確信をどうバランスさせているのか知りたいだろうか。続きは次回の記事で確認してほしい。

forbes.com 原文

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