その他

2026.03.01 09:45

イランに米空母は撃沈できない、だが「軽微な一撃」でも政治的には有効

米海軍の原子力空母ジェラルド・R・フォード。2025年10月1日、ジブラルタル海峡にて(Alyssa Joy/U.S. Navy via Getty Images)

「これらの破壊的な火災は、現代の空母にも依然として弱点があることを示している。その大きな要因は、大量の可燃物を搭載していることだ」とファーリーは警告した。「ミサイル攻撃により、カタパルト(射出装置)、通信機器、制動装置を破壊するなどして艦載機の離着陸ができないようにしてしまえば、空母は無力化できる」

advertisement

ファーリーは、空母の甲板は第2次世界大戦時よりずっと頑強になったとしつつ、破壊そのものを目的としない攻撃もありうると示唆。「真に懸念すべきは、爆撃により飛行甲板や格納庫に十分な損害を与え、任務を遂行できない状態(ミッションキル)に追い込む作戦だ。そうなれば、港に戻って修理が終わるまで空母は無力化される」と続けた。

イランには「近いだけ」でも十分かもしれない

空母への攻撃は「軽微」なものでさえ、政治的には非常に大きな影響を及ぼす恐れがある。空母は米国の戦力投射の象徴だからだ。

「米海軍は損失を吸収できるが、米国政治は象徴的な損害にすぐさま反応する」とスカラブ・ライジングのツッカーマンは指摘。たった1回でも攻撃が成功すれば、議論は「イラン封じ込め」から「米軍は脆弱だ」へと方向転換するだろうと示唆した。

advertisement

そうなれば、イランがすぐさま核開発は抑止力目的だとの主張を強めるのはほぼ確実で、開発費の迅速な引き上げが可能になったイラン指導部に外交上の優位性さえ与えてしまうだろう。「米政府は世論の監視下で、戦争規模の拡大(エスカレーション)か抑制かの選択を迫られることになる」とツッカーマンは警告した。

中東バーレーンの首都マナマで2026年2月28日、米国とイスラエルが行った攻撃に対するイランの報復ミサイル攻撃を受け、黒煙を上げる米海軍第5艦隊司令部の施設(Stringer/Anadolu via Getty Images)
中東バーレーンの首都マナマで2026年2月28日、米国とイスラエルが行った攻撃に対するイランの報復ミサイル攻撃を受け、黒煙を上げる米海軍第5艦隊司令部の施設(Stringer/Anadolu via Getty Images)

イラン指導部は米空母打撃群への攻撃を試みることで、米国の防衛体制をテスト・分析できるのだ。たとえ攻撃が失敗に終わっても、米国の対応方法、優先順位、最初に対処する目標、妨害対象、戦闘空間の構築方法が明らかになる。

「注目しているのはイランだけではない。イランの代理勢力、そして中国やロシアも、事態を観察して学習する。この情報価値だけでも、イランにとって『攻撃試行』は有用だ」とツッカーマンは述べた。

イランにもリスクはある。攻撃を試みた結果、米政府・議会がエスカレーションへと舵を切る可能性がある。

だが、ツッカーマンは「空母への攻撃や、その本格的な試みは、懲罰的な報復攻撃の引き金となる」としつつ、「イランはそのリスクを受け入れている。(作戦遂行における)テンポと曖昧さをコントロールし、攻撃を代理勢力の間に分散させ、米政府・議会が躊躇するような範囲内に戦闘を収めることで、エスカレーションを管理できると信じているからだ」と説明。次のように締めくくった。

「イランの指導者たちは長年、調整された圧力の行使を実践してきた。それは痛めつけるのにも、警告するのにも、勝利を主張するにも十分でありながら、体制を脅かすような報復を招くほどではない。空母への言及も、その圧力戦略の一環だ」

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事