「いい人すぎるよ展」が世界5都市で大盛況 体験型展示の市場を切り開く│20 HOT CREATORS

明円卓 |ENTAKU produce代表 

明円卓 |ENTAKU produce代表 

Forbes JAPAN 2026年3月号は「20 HOT CREATORS 進化するクリエイター経済」特集。

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日本の基幹産業として位置づけられているコンテンツ産業は、2033年には海外売り上げ額20兆円規模を目指す成長領域。経済界からもコンテンツ産業を含むエンタメ・クリエイティブ領域全体が成長市場としてとらえられ、資金の流入が進む。そんな市場において存在感を強めているのが、IPを起点に新たな需要を創出し産業としての広がりを生み出すクリエイターたちである。

本特集では、作品や世界観を核に、シーンを形成しながら市場を拡張していく今注目のクリエイター20人を紹介。その一人がENTAKU produce代表の明円卓である。


近年の体験型展示ブームを牽引する明円卓。拡張性の高いIPを生み出し、世界に新しいジャパンコンテンツを届けている。 

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「集合写真で、端っこの人のために少し体を斜めにしてあげる人」「エレベーターで『何階ですか?』って聞いてくれる人」

誰もが経験したことのある“いい人”のワンシーンを切り取った企画展「いい人すぎるよ展」および同様のシリーズが、国内外で若者を中心とした老若男女の心をつかんでいる。2023年に東京・原宿のギャラリーで「いい人すぎるよ展」を初開催したところ、3日間で4000人を動員。熱気は国内各地へと広がり、「そういうことじゃないんだよ展」「うれしいすぎるよ展」など約20タイトルのシリーズ累計で約90万人が来場するヒット企画となった。このヒットを機に、日本では美術展以外でも「〇〇展」と名のつく展示イベントが急増しトレンドに。一大市場の形成につながった。

2024年に全国7都市を巡回した「新!いい人すぎるよ展&すぎるよすぎるよ展」
2024年に全国7都市を巡回した「新!いい人すぎるよ展&すぎるよすぎるよ展」

仕掛け人は、20年に広告会社から独立してENTAKU produceを起業したクリエイティブディレクターの明円卓。現在5人の従業員が所属する同社および、外部パートナーも参画する体験クリエイティブチーム「entaku」で企画から制作までを担っている。24年には展示がIPとして海を越えてソウルに進出し、25年には再びソウル、それから上海、杭州、深セン、台北の計5都市で「いい人すぎるよ展」を開催した。反響も大きく、ソウルではTikTokでの関連動画の再生数が累計3000万回を突破。台北では東京開催時と同規模の1日2000人を動員し、連日満員となった。若者がパロディ動画を自主制作するなどのミームも発生し、韓国語・中国語などの書籍も発売された。

台北で連日満員の大盛況となった「いい人すぎるよ展」。
台北で連日満員の大盛況となった「いい人すぎるよ展」。

万国共通の「感情」に根ざした展示 

「いい人すぎるよ展」シリーズは、なぜ人の心をつかんだのか──。コアにあるのは強い企画力だろう。明円は会社員時代から休日を使って自主制作プロジェクトを立て「本当に自分がつくりたいもの」をアウトプットしてきた。本シリーズも同様の発想で始動した。「SNS時代は流行のスピードが速すぎて、半年かけて準備したキャンペーンですら話題になっても1日で忘れられてしまう。人生をかけてやるならば、人が一生忘れられないものをつくりたいんです。そのひとつの解が“体験”でした」。

拡散のポイントは、企画段階からSNS前提で設計したこと。“感情に深くタッチしているかどうか”が拡散数に比例するとして、展示内容は「喜怒哀楽の何かの感情に触れる」ことを意識した。「すべての企画は『これならSNSで確実に広がっていく』という確信がもてたもの。その手応えがないプロジェクトにはそもそもGOを出さない」。展示会場の作品も、SNSで投稿されることを想定して制作。実際に来場者のオーガニック投稿による広がりに支えられてきた。

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文=堤美佳子 編集=田中友梨 写真=若原瑞昌

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