ジャクソン・ポロックの絵を見て「自分にも描けそうだ」と思ったことはないだろうか。オレゴン大学の研究者によれば、その考えが誤りかもしれない。ただし、あなたが子どもである場合は別だ。
学術誌『Frontiers in Physics』に最近掲載された研究で、物理学者と心理学者からなるチームは、ポロックの名高い「アクション・ペインティング」の手法と、彼がいかにして独自のスタイルを生み出したのかを、より深く理解しようとした。
研究を主導したのは物理学教授のリチャード・テイラーである。テイラーは以前、機械学習を用いて本物のポロック作品と模倣作を見分ける研究を行った。その研究の一環として、彼は一般の人々にポロック風のドリップアート制作に挑戦してもらった。これらの「Dripfest」イベントでは、参加者はポロックの作例を見たうえで、同じ手法、キャンバスに絵の具を注ぎ、投げつけるで自作した。
ポロックの独特な描画スタイルは、1951年にハンス・ナムスが制作した短編映画『Jackson Pollock 51』にも記録されている。
このスタイルは、大人にも子どもにも複製できそうに見える。だがテイラーらは、大人と子どもでは、この種のアートの制作の仕方に違いがあるのではないかと考えた。そして、違いがあるのなら、どちらがよりポロックに近い描き方をするのか。
研究者が分析したのは、若年成人(18〜25歳)が制作した34点、子ども(4〜6歳)が制作した18点、そしてポロックのオリジナル作品である。
フラクタルとしてのジャクソン・ポロック作品
各グループが生み出した絵の具のパターンの違いを明らかにするため、研究者はそれらのパターンを「骨」(絵の具の主たる軌跡)と「皮膚」(その軌跡に沿って規則的に現れる滴)へと単純化した。続いてフラクタル解析を用い、パターンを数学的に記述した。
フラクタル解析には多様な用途がある。基本的には、ある種の複雑なパターンをもつデータを記述・比較する必要があるときに用いられる。本研究ではポロック作品の模倣画像が対象だが、医療や科学の画像解析、樹木や岩など自然物のパターン、さらには経済データの分析にも用いられる。
研究者がポロック作品に対して行ったフラクタル解析では、ドリップのパターンがキャンバス上にどう分布するか、また絵の具の軌跡の間に形成される「隙間」の大きさや数を調べた。



