起業はいま、追い風を受けている。
働く人の半数以上が、雇用の不安定さによるストレスを感じていると回答した。こうした人々1200人を対象にした調査では、62%が今後1年以内に事業を始める可能性が「多少ある」または「非常に高い」と答えた。従来のキャリアの階段は不安定に見え始めており、労働者たちは自ら道を切り開こうとしている。
雇用不安のさなかにこうした兆しが出るのは理にかなっている。同じく不確実性が高まったCOVID-19パンデミック期間中にも、多くの人が働き方を見直したり解雇を経験したりする中で、自営業が増加した。
今日、同様の変化が起きている。しかし今回は、触媒がパンデミックではない。労働に対するAIの広範な影響、頻発するレイオフ、独立した働き方への関心の高まり、そして雇用がもはや安定を保証しないという認識の広がりである。
自営業には確かにリスクがある。しかし多くの労働者にとっては、現状にとどまることもまたリスクなのだ。本稿では、起業がもたらす変化と、リスクを抑えながら事業を始めるためのヒントを紹介する。
新しい起業家マインドセット
キャリアに対する意識が変わりつつある。
自営業はもはや「代替案」ではない。意図的な選択となっており、62%が自分がボスになりたいと答えている。
人々が自営業になりたい理由はさまざまだ。
- 柔軟性の向上
- 収入増の可能性
- レイオフへの恐れ
- 自分のものを築きたいという願望
要するに、人々はコントロールと安定を求めている。それは従来の雇用では必ずしも約束されないものであり、もっとも自営業でも同様ではあるが。
事業立ち上げの障壁
一歩を踏み出す前に、起業に伴うものを評価しておく価値がある。
今の仕事を辞める前に、あるいは新しい仕事探しを諦めて自営業に飛び込む前に、考慮すべきことは多い。以下にいくつかのポイントを挙げる。
資金の制約
事業を始めるのに十分な資金があるだろうか。立ち上げ費用は、アイデア次第で100ドル程度から数十万ドルまで幅がある。多くの創業者は、売上が安定するまでにどれほど時間がかかるかを過小評価する。事業によっては、黒字化までに18〜36カ月かかることもある。
知識と自信のギャップ
芝生の手入れについて十分に知っていて造園ビジネスを始められるとしても、事業の財務面を管理する方法は分かっているだろうか。法務やコンプライアンス対応は事業主にとって大きな部分を占めており、軽視すべきではない。
ライフスタイルの変化
自営業になれば9時から5時という枠組みはなくなるが、多くの場合、それは長時間労働と曖昧な境界線に置き換わる。
これらの課題にどう取り組むかを検討したら、次のステップに進む準備ができたということだ。
起業を成功させるためのチェックリスト
起業は、単独で完結することはまれだ。資金だけでは不十分であり、インフラとサポート体制も同じくらい重要になる。
- 法的サポート。事業を持つことは、書類作成、契約、コンプライアンスを意味する。ビジネス弁護士はミスを避ける助けとなり、自営業としての歩みの各段階で、必要な基盤を固めてくれる。
- メンターシップ。中小企業の経営者を知っているだろうか。友人の友人や近所の店主なら、自営業や起業の進め方についてヒントを共有してくれる可能性が高い。聞いてみなければ分からない。
- 財務の知見。帳簿管理の方法を知ることは不可欠だ。地元のコミュニティカレッジを確認するか、オンラインで会計、予算、キャッシュフロー管理の講座を探そう。あるいは、こうした重要業務を外部委託することもできる。
- 業務インフラ。クラウドストレージ、会計ソフト、CRMツール、ワークフローシステムは選択肢ではなく、基盤である。初日から整理された状態を保つために、早い段階で投資しよう。
- マーケティング。認知度は自然には高まらない。創業者には明確な配信戦略が必要だ。それがソーシャルメディアのコンテンツであれ、有料広告であれ。
参入障壁は多くの面で下がっている。ウェブサイト作成ツール、使いやすいグラフィックデザインソフト、基本的なビジネス会計やソーシャルメディアマーケティングに関するオンライン教育により、学ぶ意欲さえあれば、事業の立ち上げはこれまでになく速く、安くなった。
起業の初期段階は、急速にスケールすることが目的ではない。不確実性を減らすための土台をつくる段階である。
抜け漏れをなくす:副業として始める
賢い起業家は、辞めない。試すのだ。
可能であれば、給与を受け取りながら事業を育てよう。副業モデルは、起業を一か八かの飛躍から段階的な移行へと変える。収入の安定を手放す前に、需要を検証し、価格設定を磨き、成功への土台を整えることができる。
2つのキャリアを同時に回すことは、燃え尽きの加速につながる場合もある。このリスクを過小評価してはならない。そして、自分自身や大切な人のための時間も忘れずに。2つの仕事を掛け持ちする段階は、通常は一時的なものだ。フルタイムの自営業への架け橋なのである。
これは新しい戦略ではない。実際、2023年に会社を立ち上げた事業主の44%は、まだ別の雇用主のもとで働いていた。この割合は2022年の25%から増加した。この変化はより大きな兆しを示している。起業は「オールかゼロか」である必要はない。段階的な戦略になり得るのだ。
最初は安全策を取ることが、長期的な起業の成功の鍵になるかもしれない。
労働市場は変わりつつあり、雇用の安定の定義も変わっている。
増え続ける労働者にとって、最も安全な一手は雇用され続けることではなく、自分の雇用を自分で築くことなのかもしれない。起業は不確実性を消し去るのではなく、その「居場所」を変える。
それでも、戦略的に行えば、自営業はリスクではなく、それを能動的に管理する手段として見なされるようになっている。



