スポーツ

2026.02.23 10:00

フィギュアスケート採点の闇 女子シングルでも審判がロシア選手を「ひいき」

ミラノ・コルティナ冬季五輪で演技を披露するロシア出身の個人中立選手(AIN)アデリヤ・ペトロシャン。2026年2月19日撮影(Jamie Squire/Getty Images)

公式結果とは大きく異なる順位

19日の競技のデータは厳しい現実を突きつける。他の審判の平均点と比較すると、パレツカヤはペトロシャンを過大評価する一方で、競合する米国と日本の選手を明らかに過小評価していた。

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2日間にわたる競技終了後のパレツカヤによる順位付けは次のようになった。括弧内の数値は、選手の公式スコアとの偏差を表す。何かお気づきになるだろうか?

パレツカヤによる最終順位

1位 アデリヤ・ペトロシャン(AIN)223.27(+8.74)
2位 中井亜美(日本)221.11(-1.95)
3位 坂本花織(日本)220.11(-4.79)
4位 アリサ・リュウ(米国)218.25(-8.54)
5位 千葉百音(日本)215.89(-1.99)
6位 アナスタシヤ・グバノワ(ジョージア)214.29(+4.3)
7位 李海仁(韓国)211.66(+1.1)
8位 ニナ・ペトロキナ(エストニア)211.22(+0.4)
9位 アンバー・グレン(米国)209.67(-5.24)
10位 ソフィヤ・サモデルキナ(カザフスタン)209.10(+1.64)

著しく偏ったパレツカヤの採点

パレツカヤはペトロシャンに審判団の平均より9点近く上回る点数を与えた。一方、最終的に優勝したリュウに対しては、平均より約9点低く評価した。

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五輪開催を前に、ペトロシャンは表彰台を狙う「ダークホース」として、上位候補のリュウ、坂本、中井、グレン、千葉らに挑戦すると目されていた。興味深いことに、この5人の選手はいずれもパレツカヤによって過少評価されていた。その一方で、同審判はロシア出身のペトロシャンの演技を過大評価していたことが浮き彫りになった。

フィギュアスケート界の「東西冷戦」

パレツカヤは、ペトロシャン(ロシア)、グバノワ(ジョージア)、そして程度は低いもののサモデルキナ(カザフスタン)の得点を水増ししたようだ。ペトロシャンはロシアからAINとして出場する一方、グバノワとサモデルキナもロシア出身の選手だが、国際オリンピック委員会(IOC)によるロシア人選手に対する出場禁止措置を回避するため、最近になって国籍を変更して今大会に出場した。

パレツカヤはカザフスタン代表の元フィギュアスケーターだが、ソビエト連邦に生まれ、ロシア人コーチの指導を受けてきた。パレツカヤの行動は旧ソ連出身者による長年にわたる親ロシア的な採点を想起させる。

英学術誌「政治学の視点」に「氷上の冷戦」と題する論文が掲載されたように、旧ソ連諸国のフィギュアスケート審判は、ロシアや衛星国の選手を優遇する傾向が記録上明らかになっている。論文の著者らは、1947~91年の冷戦期に、フィギュアスケートの審判が自国選手の得点を他国選手より2.5位分高く評価していたことを発見した。

デンマーク人統計学者リク・フォールハールは2020年、フィギュアスケートの採点に統計的に有意な偏りが依然として存在するかどうかを明らかにしようと試みた。2016~19年のデータを用いた調査結果は決定的だった。82%の事例でロシア人審判は自国選手に対し、他国選手より高い点数をつけていた。だが、フォールハールは「フィギュアスケートの主要国にはどこでもこうした偏りがある」と指摘。「一部の国が自国選手を高く評価するだけでなく、多くの国が競合国の選手を著しく低く評価する傾向にあることも明らかだ」と説明した。

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翻訳・編集=安藤清香

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