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2026.02.22 11:17

半導体の生産能力制約が2026年を左右する

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ゲーミングPCの中でRAMメモリーチップを手に持つ様子。AIのコンピューティング需要と半導体市場の圧力により、ハードウェア不足と価格上昇が起きていることを象徴している

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国際通貨基金(IMF)によれば、世界経済の成長率は2025年に3.2%と堅調に推移し、2026年は3.1%と予測されている。さらにAI導入が地域・業界を問わず加速するなか、テック業界は2026年を明るい成長見通しとともに迎えた。だが残念ながら、2026年は卓越した技術成長よりも、生産能力の限界によって記憶される可能性が高い。半導体メモリーと、サーバー、PC、モバイル向けプロセッサーに用いられる最先端のロジック・プロセスノードでは、すでに生産能力制約が生じている。さらに、半導体製造で使用される多くの材料についても、供給制約が起こり得る。

業界がメモリーチップの生産能力制約を意識し始めたのは2025年第4四半期だった。Micron、Samsung、SK Hynixという3社のトップが、旧世代のDDR4メモリーから、より新しいDDR5メモリーおよび、HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)やAI用途でCPUやGPUと組み合わせて使われる、積層型3DのHigh-Bandwidth Memory(HBM:広帯域メモリー)へと生産を移したためだ。MicronはCrucialのメモリーソリューションを打ち切り、消費者向け市場からも撤退した。HBMが強く重視されていることから、次世代のAMDおよびNvidiaのAIアクセラレーターに関しては、供給不足への懸念は小さい。一方で、DDR5を使うモバイルおよびコンピューティング用途への懸念は高まり、旧世代のメモリーを依然として利用する数百万の消費者向け・産業向けアプリケーションについては、極めて大きな懸念がある。

半導体部品が不足した際に典型的に見られる反応は、将来の供給確保のために発注数量を2倍、さらには3倍にすることだ。だがメモリー価格がわずか数週間で2〜3倍へ急騰したため、多くの企業が発注を遅らせ、さらにはキャンセルする事態となった。これにより、電子機器のODMやOEMが2026年の生産計画を縮小し始めたことで、他の半導体部品への発注も減少している。こうした動きの影響は、最近の決算発表ですでに明らかになっている。Qualcommは今週、売上高と利益が過去最高になったと報告したが、顧客、特にハンドセットメーカーが直面しているメモリー制約により、将来の売上高が制限される可能性があると指摘した。Microchipも同様の予測を示した。そしてMicronは「2026年の生産能力は完売以上の状態だ」と述べている。これらの見解は年明けからわずか数週間で示されたものだ。その結果、Tirias Researchは、年が進むにつれて制約がより顕著になると予測している。主要メモリーベンダーはいずれも新たな製造能力に投資しているものの、その大半が生産を本格的に立ち上げるのは2027年および2028年になる見込みだ。DDR/HBMほど深刻ではないにせよ、NANDフラッシュもまた生産能力制約がある。

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ただし、生産能力制約があるのはメモリーだけではない。ファウンドリーの生産能力もまた希少な資源となりつつある。最新のPCプロセッサー、モバイル向けアプリケーションプロセッサー、サーバープロセッサー、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)、AIアクセラレーター、その他の特化製品が、TSMCの最新世代ノードの生産能力を奪い合っているからだ。Samsung Foundryで2nmの生産が始まれば、TSMCとSamsung Foundryの両方を使う意思のある顧客、あるいはSamsung Foundryへ全面的に切り替える意思のある顧客にとっては、いくらかの緩和になる可能性がある。だがSamsung Foundryは生産立ち上げがさらに遅れており、生産能力もTSMCのごく一部にとどまる。Intel Foundryは現在18Aプロセスを立ち上げつつあるが、今後の製品にとって重要な設計のタイミングをいくつか逃した。Intel Foundryは、2027年〜2028年の時間軸で18Aと14Aの両プロセスを提供する代替選択肢となるだろう。

メモリーとファウンドリーの生産能力だけでも十分厳しい状況だが、半導体製造に使われる材料の一部、たとえばガリウム、ゲルマニウム、ネオンガス、レアアース(希土類)材料についても、生産能力制約が生じる可能性がある。背景には、資源の地理的集中、精製能力の限界、地政学的緊張がある。現時点では大きな制約には至っていないものの、材料が1つ不足するだけで業界全体が停滞しかねない。実例として、2000年代初頭のタンタル不足は、ハイテク・エコシステムに大きな影響を与えた。

世界経済が健全であれば、消費者、企業、サービスプロバイダーによる電子機器需要は強くなるが、電子機器は価格弾力性が高い。価格が上がれば、特に消費者向け製品では需要が減少する。結果として、生産能力が成長にとって最大の制約となる。不運なことに、これは最悪のタイミングで起きている。AIが、新製品・新サービスへの需要を押し上げており、それらはより多くのメモリー、より多くのストレージ、より高い演算性能を必要とするためだ。しかも、その需要の伸びは、テック業界が対応できる能力を上回っている。2026年は厳しい年になるが、業界の軌道を止めることはない。むしろ、今後10年の終わりまでに必要な生産能力を確保するよう、半導体業界への圧力を一段と強めることになる。

forbes.com 原文

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