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2026.02.22 10:31

Wine Paris 2026が映し出す、ワイン業界の構造的転換

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Wine Paris 2026には3日間で6万5000人超の業界来場者と6500の出展者が集まった。

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© Philippe Labeguerie / Wine Paris 2026

ブラインドテイスティングがワイン界に衝撃を与えてから50年。業界はいま再び、決定的な岐路に立っている。

1976年、「パリスの審判(Judgement of Paris)」は序列や地理、正統性に関する前提を覆した。カリフォルニアワインがボルドーやブルゴーニュを抑えて勝利したこのブラインドテイスティングは、ナパを世界の舞台へ押し上げただけではない。卓越が既存の権力中枢の外から生まれうること、そしてワイン産業は条件が求めるとき再発明できることを証明した。

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Wine Paris 2026もまた、同様の転換点に重なった。世界のワイン消費量は1960年代初頭以来の低水準へ落ち込み、赤ワインが長く保ってきた優位は揺らいでいる。若い世代は飲酒に対してより慎重な姿勢を見せている。気候の不安定化と地政学的な変動はブドウ畑の採算を変え、利益率や店頭価格へ連鎖的に波及している。さらに、世代交代が滞りなく進み、自然に高価格帯へ移行するという、かつて当然視されてきた物語はもはや成り立たない。

理解すべきことが多く、しかも同時多発的に起きているように見える。それでも今週パリで、6万5000人超の業界来場者と6500の出展者を迎えた会場を歩いて印象的だったのは、不安ではなく適応だった。業界は構造変化の規模を理解し、それを前提に設計し直していることが明らかだった。

「パリスの審判」50周年という節目は、有用な枠組みを与えてくれる。1976年、変化は周縁からもたらされた。2026年、再調整はデータ主導の消費者調査から、ブドウ畑での試験、サステナビリティの枠組み、さらにはまったく新しい飲料カテゴリーに至るまで、エコシステム全体で進行している。最も際立つのは、単一のブレークスルーではなく、調整に向けた集団的な意思である。

変化する消費パターンと適応の方法

Wine Parisで最も考えさせられたセッションの1つが、国際ブドウ・ワイン機構(OIV)で統計・デジタル変革部門を統括するジョルジオ・デルグロッソによる、世界消費動向のアップデートだった。世界のワイン消費量は2024年に2億1400万ヘクトリットルへ落ち込み、1961年以来の低水準となった。この減少は、一部が主張するようなコロナ後の短期的な異常ではない。むしろ数十年にわたり存在してきた構造的な変化を反映している。

米国は2024年に3330万ヘクトリットルと、数量ベースで世界最大のワイン市場であり続ける。しかし2019年と比べると、米国の消費量はおよそ220万ヘクトリットル減少した。この縮小は、持続するインフレ圧力、世代的な節度、他の飲料カテゴリーとの競争激化など、複合的な課題を映し出している。

スタイル面でも変化は顕著である。2000年には赤が世界のワイン消費のおよそ51%を占めていた。2024年にはその比率が46%へ低下した。白はここ20年ほどで約40%から44%へ上昇している。ロゼはいまや世界消費の約10%を占める。スパークリングはカテゴリーの中で最も底堅い存在で、世界消費は約1900万ヘクトリットル。過去20年にわたり着実な成長を続けている。

これらの動きは、飲まれる場面、嗜好、ライフスタイルの変化を示している。生産者と流通にとって示唆は明快だ。需要がかつて存在した場所ではなく、いま移動している先に注意を向けるべきである。データは縮小を示す一方で、進化と、底堅さが残る領域も示している。

OIVの発表がマクロの変化を可視化した一方で、ARENI Globalは、その影響をファインワインの観点から検証した。共同創設者でエグゼクティブ・ディレクターのポーリーヌ・ヴィカールは、著名ジャーナリストでエディトリアル・ディレクターのフェリシティ・カーターとともに、新たな消費者調査を提示した。

2025年秋に実施されたARENIの調査は、40歳未満の消費者がどのようにファインワインのカテゴリーに入っていくのかを検証した。調査には308人が参加し、そのうち209人はファインワインの実購買者だった。あわせてロンドン、パリ、ニューヨーク、香港、シンガポール、上海でインタビューとフォーカスグループも行った。

ヴィカールによれば、結論はこうだ。「ファインワインの購買者を生み出してきた従来のパイプライン──職業上の上昇、憧れに基づく支出、段階的なアップグレード──が崩壊している」

数十年にわたり、業界は予測可能な進行に依存してきた。キャリアの前進が可処分所得の増加につながり、それがより高級なワインへの移行につながり、収集へと至る。だがこのモデルはいま、所得成長の不均衡と富の集中によって、より不確かな基盤の上に置かれている。

興味深いことに、ARENIの調査は、ファインワインへの入口がますますソーシャルになっていることを示した。「ファインワインは、友人関係や同輩ネットワークを通じて好奇心が社会的に承認されて初めて、その人の生活の一部になる」と彼女は語り、由緒や相続ではなく、コミュニティ内での可視性こそが関与を促すと強調した。

教育の役割も、想定とは異なる。「若い飲み手は、より良い顧客になるためではなく、自分で意思決定するために学ぶ」とヴィカールは述べた。彼らは受動的に階段を上るのではない。ワインの価値とアクセスの入口を能動的に問い直し、明確さと主体性を求めている。

それはアクセスの設計そのものにも及ぶ。「アクセスとは、単にワイン商を見つけて、そこで買えるだけの資金があることではない。可視性、公平性、そして人々が理解できるルールの問題でもある」とヴィカールは言う。ARENIの調査によれば、アロケーションの仕組みや透明性といった要素が若年層にとって重要だ。

最も重大な発見の1つはジェンダーに関するものだ。25歳以下のファインワイン購買者では、女性は参加者のおよそ44%を占める。ところが41〜55歳になると、その比率は17%まで落ち込む。問題は初期の関心ではなく、継続である。

最若年層のほぼ半数が女性でありながら、その後の人生段階で参加が急減するのなら、業界には構造的な機会がある。価格体系、アロケーションの慣行、イベントの形式が、キャリアや家族の状況が変化する女性を意図せず排除しているのではないか。ヴィカールは、ファインワインが下降軌道を変えたいなら、時間をかけて女性の関与を維持できるよう道筋を再設計すべきだと主張する。

マクロデータと消費者調査の双方が示すのは、量が忍耐だけで回復する見込みは小さいということだ。米国市場は軟化し、赤はかつてのような自動的な成長エンジンではなくなり、プレミアムへの入口はよりソーシャルな要因に左右される。再生には戦略的な明確さ──より明快な導線、より賢いポジショニング、そして移りゆく需要に整合する製品──が必要になる。

あらゆる場所で進むイノベーション:製品、サステナビリティ、新カテゴリー

消費データが課題の大きさを示したとすれば、展示ホールはその対応を示した。会期前夜には、V d'Or — The Vinexposium Business Awardsが、イノベーション、サステナビリティ、教育を前進させる取り組みを表彰した。今年の「Best Sustainability Initiative」賞は、カリフォルニア・サステナブル・ワイングローイング・アライアンス(CSWA)が開発した「Climate Action Toolkit」に授与された。

このツールキットは、ワイン生産者が気候リスクを特定し、気候配慮型の実践を優先順位付けし、測定可能な進捗を追跡するための体系的なガイダンスを提供する。「この賞は、計画と科学に根差し、備えと持続的なスチュワードシップに焦点を当てた、カリフォルニアのワインコミュニティ全体にわたる数十年の協働を反映している」と、CSWAのエグゼクティブ・ディレクターであるアリソン・ジョーダンは語った。

カテゴリーのイノベーションも同様に可視化されていた。Wine Parisは初めて、「Be No」という旗印のもと、ノンアルコール飲料にフロアを丸ごと割り当てた。Be Noプラットフォームのアンバサダーであるカミーユ・ヴィダルによれば、このセクションは完売し、出展希望者のウェイティングリストができるほどだった。来年は拡張する計画がすでに進んでいるという。

出展はノンアルコールワイン、機能性飲料、カクテルに及び、老舗生産者からスタートアップまでが参加した。マインドフル・ドリンキングのアドボカシーおよび小売プラットフォーム「Club Soda」の共同創設者ローラ・ウィロビーは、ノンアルコールおよび機能性飲料の成長が、飲酒文化全体の再調整を反映していると強調した。消費者は、アルコール度数に引きずられるのではなく、自分がどう感じたいか──リラックスしたい、集中したい、祝いたい──に基づいて飲み物を選ぶ傾向を強めている。ワインにとってこの変化は競争であると同時に、創造的な刺激でもある。

最も注目すべきクロスオーバーの1つは、ベルリン拠点のKolonne NullがSchloss Johannisbergと提携し、1951年から2014年にまたがるリザーブワインをブレンドして、脱アルコールのリースリング「XO」を製造した事例だ。価格は約100ドルで、ノンアルコール製品はエントリー層に限られるという前提に挑戦している。これと、ほかのいくつかの際立った製品は、NAカテゴリーが比較的短期間でどれほど進化したかを示していた。

ブドウ畑のレベルでも、イノベーションは同じように存在感を放っていた。フランス南部リムー近郊を拠点とするPierre et Antoninは、耐病性を備えた交雑品種、オーガニック認証の栽培、軽量パッケージングを中核にブランドを築いてきた。共同創設者のアントナン・ボネによれば、耐病性の樹は銅や硫黄の散布を劇的に減らすことができる。季節あたり15回や20回だった散布が、1〜2回にまで減るケースもあるという。

病害の圧力と労務費上昇に直面する地域では、この削減は環境に良いだけでなく、収益にも資する。ボネが説明するように、サステナビリティは拡大のために財務的合理性を持たねばならない。同社は年間約3万ケース(9L換算)を生産し、2桁成長を続けている。Pierre et Antoninのワインは国内および輸出市場で販売され、米国ではWhole FoodsやTrader Joe'sが商品を取り扱っている。

より広い文脈に置くと、今週のイノベーションは孤立したブレークスルーというより、より長い再発明のサイクルの一部のように感じられた。エレイン・チュカン・ブラウンによる「パリスの審判」の遺産を扱うマスタークラスは、その視点を補強した。1976年を振り返り、彼女はこう語った。「重要だったのは、カリフォルニアの人々に、続けていく自信を与えたことだ」。このメッセージはいま、きわめて時宜を得ている。気候の不安定化、消費の変化、利益率の縮小という時代にあって、生産者に必要なのは耐えるためだけではなく、築き、進化するための同じ確信である。

「パリスの審判」が既存の序列を揺さぶってから50年。Wine Paris 2026は、次の変革が地理というより適応力に左右されることを示唆した。歴史が示すとおり、続けていく生産者こそが、次に来るものを定義することが多いのである。

forbes.com 原文

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