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2026.02.22 08:00

マスクを「トリリオネア」に押し上げるのはテスラではなくスペースX

イーロン・マスク(Shutterstock.com)

製造業サイクルからインフラ・プラットフォームへ

もちろん、テスラはいまも革新的な企業である。とはいえ自動車製造は景気循環の影響を受けやすく、資本集約型であり、株式市場の変動にも左右される。

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それに対してスペースXは別のカテゴリーで事業を展開している。

スペースXは航空宇宙史上、類を見ない規模で打ち上げ頻度(ケイデンス)を支配しており、年間およそ165〜170回の打ち上げを目標としている。高頻度の打ち上げは固定費を分散し、信頼性を向上させ、提供価格を引き下げ、政府や企業による依存を強めることになる。

スペースXが開発している完全再使用型の大型打ち上げシステム「スターシップ」は、いわゆる「軌道経済」に構造的な変化もたらす可能性を秘めている。再使用が大規模に実現すれば、コスト削減効果で官民両分野の宇宙アクセス需要が拡大する可能性がある。

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そして、打ち上げ分野での優位性は次のレイヤー(階層)の成長を促進する。

グローバル通信レイヤーとしてのスターリンク

スターリンクはもはや衛星通信の実験段階などではない。航空機や船舶、農村地域、防衛ネットワーク、新興市場など向けに衛星通信サービスを提供し、急速に拡大している事業だ。

地上通信事業者と異なり、スターリンクは現地の地上インフラに依存しない。そのアーキテクチャーは設計上、国境を越えて展開することを前提としている。

衛星とスマートフォンなど地上端末の直接通信(Direct to Cell)統合は次の発展段階を意味し、主流の通信エコシステムに衛星接続が組み込まれるようになる可能性がある。

打ち上げ能力、衛星の製造や展開制御、継続的なブロードバンド収益、防衛分野との統合、AI(人工知能)の取り組みといったすべてを単一の垂直統合構造の中に併せ持つ企業は、スペースX以外にほとんど存在しない。

グローバルに規模拡大を進めながら、非公開企業のままである企業はもっと少ない。

現在、マスクの資産の大部分ももたらしているのも、そのスペースXとスターリンクだ。

投資家がスペースXへのエクスポージャーを得る方法

スペースXは非公開企業である。

スターリンクも同じく非上場である。

ティッカーシンボルはないし、個人投資家が株式を直接購入する選択肢もない。

流動性の窓が開いても、多くの機関投資家でさえ割り当て制限に直面するのが実情だ。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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