フォレスターはこのほど、世界のAI意思決定者1400人超を対象にした調査に基づく新たな知見を公表した。調査対象のAI意思決定者は、生成AIと予測AIの双方を含むAI技術を、さまざまな業務領域で積極的に導入している組織を代表している。そのため、導入の普及曲線で見れば、回答者は平均より先行する層に偏っている。これにより、実際にAIへ投資している企業の導入動向、ガバナンス(統制の仕組み)の実務、セキュリティ上の懸念、ROI(投資対効果)への期待、財務インパクトの測定について洞察が得られた。調査の結果、初期投資は急速に進んだ一方で、ガバナンス、セキュリティ、長期的な価値の実現が遅れていることが明らかになった。
そこで、2026年中に答えが求められる3つの問いを挙げたい。
(1)事業リーダーはAIを実際の財務成果に結び付けられるか
AIは今なお「効率化モード」にとどまっている。多くの組織では、IT・テクノロジー部門がAIの取り組みを主導し、コストセンターとして扱われる。そうしたCIO(最高情報責任者)には、成長ではなく効率の最適化を促すインセンティブが働く。結果は予想どおりだ。IT部門主導のAI戦略は生産性の改善はもたらすが、変革はもたらさない。同様に懸念されるのは、テクノロジーおよびAIの幹部の話では、事業側のパートナーが、コスト削減以外でAIに何を求めるのかを言語化できていない点である。
このリーダーシップの欠落は、AIの価値測定にも波及する。AIが生産性を高める点については多くが同意する一方で、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)にプラスの影響があったと報告するのは13%にとどまり、AIの貢献をP/L(損益計算書)に結び付けている企業は3分の1未満である。財務面の説明責任がなければ、AIは終わりのない試験導入の繰り返しに陥り、活動ばかりで成果が伴わない状態が続く。AIを小幅なコスト削減から戦略的優位へと転換するには、ビジネスリーダー自身が前面に立ち、損益の言葉で価値を定義し、AIによる生産性向上と財務実績の結びつきを自ら主導しなければならない。



