(2)AIリーダーは目先の成果を超えて考え、人を巻き込めるか
短期的なROIへの執着が、戦略的な投資判断を台無しにしている。意思決定者の約半数が1年以内の投資回収を期待する一方、3年の長期的視野で取り組む覚悟があるのはわずか14%にすぎない。取締役会や投資家からの圧力は確かに存在するが、真の変革には時間がかかる。求められるのは単なるテクノロジーの導入ではなく、組織そのものの再構築である。
調査では、憂慮すべき断絶も浮き彫りになった。企業の48%がAIを理由にすでに人員を削減しているにもかかわらず、チェンジマネジメント(組織変革の管理)と従業員体験は、2026年の優先事項として最も低い部類に位置づけられている。従業員はサポートが不十分だと感じており、その不安が導入の推進を鈍らせている。人間をAI戦略の中心に据えない限り、得られる成果はわずかなものにとどまるだろう。
(3)ガバナンスとセキュリティは、AI導入を持続させる形に進化できるか
堅固な安全策を欠いたままAIの導入を急速に進めれば、企業はリスクにさらされ、信頼が損なわれる。そして信頼こそが、AIと価値創出の間に立ちはだかる最大の障壁である。例えば今回の調査では、約4分の3の組織がAIに関する方針を文書化しているものの、その多くはデータの取り扱いや著作権の遵守といった基本事項しかカバーしていないことが判明した。責任あるAI利用に関する研修を義務づけたり、支援を求める従業員に明確な指針を示したりしている組織はごくわずかである。
同時に、意思決定者の40%がセキュリティとリスクを最大の懸念に挙げているにもかかわらず、スピード重視の圧力が安全対策に勝ってしまうことが多い。データ、企業の評判、そしてイノベーションを守るには、AIガバナンスとリスク管理を事業の運営モデルそのものに組み込まなければならない。優れたガバナンスとセキュリティの基盤こそが、未来のリーダー企業が繁栄するための信頼の土台となる。
次に何が起きるか
2026年は実務本位の年となり、生成AIは、たとえるなら中学生の段階へと成長する。企業は、エージェント(自律的にタスクを実行するAI)をどこまで押し進めて業務を自動化できるのかを見極めていくことになる。
この記事は、新興テクノロジー担当VPでプリンシパル・アナリストのブライアン・ホプキンスが執筆した。原文は同社サイトのこちらに掲載されている。


