ドナルド・トランプ大統領が自身の関税措置により米国の貿易赤字が78%縮小したと主張する一方で、2025年12月の貿易赤字は予想以上に拡大した。貿易赤字は16年ぶりの低水準を記録した後に再び拡大し、2025年通年では歴史的な高水準近辺にとどまった。
商務省経済分析局(BEA)が発表したところによれば、輸出額よりも輸入額が上回る度合いを示す貿易赤字は、2025年12月に703億ドル(約10.9兆円。1ドル=155円換算)へ拡大し、同11月の568億ドル(約8.8兆円)から32.6%増加した。
一方、トランプは米国時間2月18日、トゥルース・ソーシャルへの投稿で、貿易赤字は78%削減され、2026年には「黒字の領域(POSITIVITE TERRITORY)」に入ると主張した。ただし、トランプが挙げた削減幅がどの期間のものを指しているかは明確ではない(ホワイトハウスは今のところコメント要請に応じていない)。
トランプはこの削減幅として、過去最高の貿易赤字1405億ドル(約21.8兆円)を記録した2025年3月から、2009年以来で最小の294億ドル(約4.6兆)を記録した2025年10月までの期間(79%減)を指している可能性がある。ただし、貿易赤字は2025年10月から同12月にかけて139%増加している。
BEAによれば、2025年12月の輸入額は前月比3.6%増の3576億ドル(約55.4兆円)となった一方で、輸出額は1.7%減の2873億ドル(約44.5兆円)だった。
ファクトセットがまとめた市場予想では、12月の貿易赤字はわずかに縮小し560億ドル(約8.7兆円)になると予想されていた。
2025年通年の貿易赤字は9015億ドル(約139.7兆円)だった。これは2024年の9035億ドル(約140兆円)をわずかに超え、2022年に記録した過去最高の9481億ドル(約147兆円)に次ぐ規模である。対中貿易赤字は2020億ドル((約31.3兆円)に縮小し、20年以上ぶりの低水準となった一方で、対メキシコ貿易赤字は1969億ドル(約30.5兆円)と過去最大を記録した。
2025年4月にトランプが貿易相手国に対して「解放の日(リベレーション・デー)」関税を課して以降、米国の財の輸出入は大きく変動した。輸入額は関税発効後の数カ月間で急増したが、その後に縮小し、2025年10月には16年ぶりの低水準となった。トランプはその後、一部の関税について姿勢を軟化させている。同8月にはEUとの合意により、ほとんどの欧州製品に対する関税率を15%へ引き下げた。また2026年2月初めにはインドとの貿易協定を締結し、関税をわずかに引き下げている。
連邦最高裁判所は、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて発動されたトランプ関税の合法性について6月下旬の会期終了前に判断を下す見通しである。すでに1000社を超える企業が政府に返金を求める予防的訴訟を起こしており、企業がすでに支払った関税がどう扱われるかは現時点で明らかでない。



