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2026.02.20 11:30

巨額投資が続くのに、AIコンピュート価格がいまだ不透明な理由

Andrii Yalanskyi / 500px /Getty Images

透明性確立に向けた競争

少数の企業がこの問題の解決に乗り出している。取引会社DRWとJump Tradingの支援を受けるSilicon Dataは、H100などのアクセラレータ(AI処理に特化した半導体)の日次価格指数を公表し始めた。Compute Exchangeは、プロバイダー横断でリアルタイム価格を表示するツールを立ち上げた。Ornn AIは実際の取引データに基づく指数を構築し、ハードウェアを物理的に保有せずとも機関投資家がGPUエクスポージャー(GPU価格変動リスクへの晒されている状況)を取引・ヘッジ(リスク回避)できる契約の開発を進めている。

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「AIにおける金融ソリューションは投機のためではありません」と、ある業界専門家は語る。「それは透明性、信頼できる参照価格、そしてリスク移転のためにあるのです。特に、インフラ整備を引き受けているオペレーターや貸し手のように、損失がどこに発生するかで不意打ちを食らうわけにはいかない参加者にとって不可欠です」。

問題はタイミングだ。透明な価格が定着するのは、何かが壊れる前なのか、壊れた後なのか。

ネルムズは遠回しに言わない。「Ornnや同様のインフラ企業が透明なベンチマークを確立できなければ、市場は自己修正するでしょう。しかし、それは長期にわたる非効率と経済的痛みを通じてのみです。資本は誤って配分され続け、バランスシートは隠れたリスクを吸収し続けます。過度にレバレッジをかけたプレーヤーは、リスクが適切にヘッジされる前に破綻する可能性が高いでしょう」。

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歴史を見れば、最終的には透明性が勝つ

歴史を見れば、最終的には透明性が勝つ。WTI原油(米国の原油先物の国際指標)やヘンリー・ハブ天然ガスのベンチマークが生まれたのは、人々の親切心からではない。複数年に及ぶプロジェクトへの資金調達が、握手と非公開交渉だけでは立ち行かなくなったからだ。利害関係者は資金調達のために標準化された価格を必要とし、リスク管理のためにヘッジ手段を必要とした。

AIインフラは今、同じ壁に突き当たっている。ゴールドマン・サックスは2026年末までに7360億ドル(約114兆1000億円)の投資を見込み、モルガン・スタンレーは2028年までに2.9兆ドル(約449兆4000億円)と予測する。転売価値が不確かで、収益前提が維持されるかどうかも定かでないハードウェアに流れ込む、実際の金だ。

不透明さは、機能しなくなるまでは通用する。そしてこの規模の市場でそれが機能しなくなったとき、調整が穏やかに終わることはまれである。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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