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2026.02.20 11:15

なぜ宮崎牛はドバイを選んだのか。地方産業が世界市場で生き残る条件

ドバイで開かれた宮崎牛のレセプションにて

ドバイで開かれた宮崎牛のレセプションにて

「和牛が高くなった」と聞くと、多くの人は、国内での高級化やインバウンド需要の回復を思い浮かべるだろう。しかし、現場で起きている変化は、単なる価格上昇では説明しきれない。

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少子化と人口減少が進む日本において、和牛はすでに「日本だけで売る」ことを前提とした産業モデルの限界に直面している。そのなかで浮かび上がってきたのが、価値をどこで、誰に、どう評価してもらうのかという、より根源的な問いだ。

宮崎県が今、和牛を「世界市場でどう売るか」という視点から産業を組み替え始めているのは、その問いへの現実的な答えでもある。昨年のカタール向け輸出開始に続き、アラブ首長国連邦(UAE)への輸出を決断した背景には、国内市場の縮小という制約だけでなく、海外にこそ見え始めた “評価の余地” がある。

なぜ中東なのか。そして、和牛は世界でどのように受け取られ始めているのか。その手がかりを探るため、今年1月、ドバイで開かれた宮崎牛のレセプションを訪れた。

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なぜ日本発ブランドは“主戦場”を変えたのか

宮崎県は現在、2024年10月に輸出認定を取得したカタールに続き、アラブ首長国連邦(UAE)向けの和牛輸出において、県外処理を経由せず、県内で処理した牛肉を直接輸出する体制へと踏み出そうとしている。

中東市場が重視されている理由は、単に富裕層向けの市場だからではない。経済指標を見れば、この地域が高所得市場であることは明らかだ。IMFによる1人当たりGDP(名目、2026年時点)では、日本が約5万6000ドルであるのに対し、UAEは約8万9000ドル、カタールに至っては約13万1000ドルと、世界でもトップクラスの水準にある。また、UAEやカタール、とりわけドバイは、世界中のラグジュアリーレストランが集積し、食材そのものの品質が評価軸になる数少ない都市でもある。

UAEやカタールなどのイスラム圏において、ハラル対応は「付加価値」ではなく、市場に参加するための前提条件だ。

ハラルとは、イスラム法に基づき「許されている」とされる食品や行為を指す概念であり、食肉の場合は飼育環境から屠畜方法、加工、流通に至るまでが厳密に管理される。

重要なのは、ハラルが単なる宗教的配慮ではなく、その国の制度や信頼性と結びついた市場ルールとして機能している点だ。だからこそ、「ハラル対応」であることと、「実際にその国へ輸出できる」ことの間には大きな隔たりがある。

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執筆=雨宮百子

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