未来のトレンドをつくる30歳未満は、今何に注目しているのか。
Forbes JAPAN では、2026年2月号の特集「2026年総予測 新時代がわかる『100の問い』」内で 、30歳未満が選ぶ「2026年の100人」企画を実施。
30 UNDER 30の過去受賞者を中心に、時代の空気を敏感にとらえる“目利き”たち50人に「自身の領域で推したい人」「領域問わず推したい人」の2人を聞いた。本稿では、その中から文筆家・伊藤亜和のインタビューを転載する。
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「普通に存在する」をかなえるための文筆の道
伊藤亜和が目指すのは「普通に存在すること」だ。
「普通にテレビに出て、普通に喋ってる、普通にみんなと交じってワイワイやってる。私たちが別に特殊な人間じゃないってことを知ってほしい」。
セネガル人の父と日本人の母の間に生まれ、アフリカ系のハーフとして“みんなと違う存在”だと感じながら生きてきた伊藤。2025年11月に上梓したエッセイ『変な奴やめたい。』では、「私が私でいるだけなのに、それ自体が悪いことのように思えていた──」と振り返る。
ターニングポイントは23年。noteに投稿したエッセイ「パパと私」がXを通じて拡散されたことで執筆依頼が次々と舞いこんだ。現在は書籍4冊を発表したほか現在は連載コラムも5本もつ。「助かった。これをやればいいんだ」。
意図して書いたわけではないが、著作が自分と同じ境遇の若者に支持され、その声が耳に届くことも多々ある。
「最近は日本社会が移民に対して敏感になっているし、イメージや憶測の域を出ないネガティブな感情を隠さない人が多くなっていて排他的な考え方がネットにも広がっています。もっと若くて柔らかい時期だったらきつかっただろうな」
執筆においては「文体で属性がバレない」のが嬉しいと語り、マイノリティなど自分と同じ属性の人でなくても若者から、普段エッセイを読まない “おじさん”までが「普通に読める」ことを大切にしている。
そんな幅広さは「2026年の注目の人」に挙げたふたりとも共通するのではないだろうか。
伊藤亜和が選んだ2026年の「推し」
①長瀬ほのか|エッセイスト

ながせ・ほのか◎エッセイスト。note主催の創作大賞2024エッセイ部門で「古生物学者の夫」がメディア賞受賞。同作を収録した初の単行本『わざわざ書くほどのことだ』(双葉社)を刊行。
②田代裕基|彫刻家

たしろ・ゆうき◎彫刻家。1982年生まれ。「半獣」シリーズなど木彫りを軸に、絵画、デザイン、詩、Podcast「印」の配信、イベントオーガナイズ/ディレクション、古物商など多彩に活動。
伊藤亜和|文筆家
いとう・あわ◎1996年横浜市生まれ。文筆家。noteに掲載した「パパと私」がXでジェーン・スー、糸井重里などの目に留まり、2024年に『存在の耐えられない愛おしさ』(KADOKAWA)でデビュー。これまでに4冊のエッセイを刊行。



