フォワードガイダンス縮小の可能性
ウォーシュは、FRBが比較的最近に導入したフォワードガイダンスを縮小する可能性がある。フォワードガイダンスとは、現在の政策決定を超えて、将来の金融政策の方向性を市場に説明する手法である。
特に金融危機以降、FOMCは金融政策に関する情報発信を強化してきた。2回に1回の会合ごとに経済見通し(SEP)を公表すること、各政策決定後に議長が記者会見を行うこと、声明文で将来の決定に言及すること、政策担当者が頻繁にインタビューや講演を行うことなどがその例だ。
ウォーシュは「政策担当者が経済予測を公表すると、みずからの言葉の囚人になりかねない」と懸念している。また、「繰り返されるFRBの呪文で市場を動かすことは魅力的だが、それはFRBによる熟議、そして何よりその使命には役立たないものだ」と述べ、「フォワードガイダンスは通常時にはほとんど役割を果たさない」とも指摘している。そのため、ウォーシュが議長となれば、FOMCによる追加的な説明や情報開示の多くが縮小される可能性がある。
何が予想されるか
現時点のところ、ウォーシュが議長となっても金利に大きな変化はないとの見方が優勢だ。もっとも、FRB議長は議決権をもつ12人のうちの1人にすぎず、その影響力を過大評価すべきではない。
しかし、FRB内部の運営には変化が生じる可能性がある。政策担当者による情報開示や予測はこれまでよりやや控え目になるかもしれない。また、他の目標を多少犠牲にしてでも、インフレ管理に明確に焦点を当てる姿勢が強まる可能性がある。
さらに、ウォーシュが議長に就任した場合にトランプがどのように反応するかも未知数である。パウエルもトランプが指名した人物であったが、トランプはパウエルに対して極めて批判的だった。


