2026.02.16 12:00

観光税でオーバーツーリズムを抑制することはできるのか?

観光客でごった返すスペイン・バルセロナのランブラス通り(Getty Images)

観光税の目的が資金調達である場合

1つの答えは、欧州の人里離れた、観光客を排除しようとは全く思っていない場所にある。ノルウェー北部ロフォーテン諸島では、社会基盤整備資金を直接的に賄うことを目的とした一種の観光税について、地方自治体が議論を重ねている。

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同諸島にはごくわずかな人口に対し、季節によって膨大な数の観光客が訪れる。ロフォーテン諸島では、道路や駐車場、ごみ収集、公衆トイレ、救助サービスの維持管理が財政的に逼迫(ひっぱく)している。問題は、観光客が歓迎されていないということではない。ノルウェーの地方自治体への予算配分方式は、訪問者数ではなく住民の数に基づいている。年間を通じて居住する人口が少ない地域は、数十万人の観光客向けに整備された社会基盤を維持するのに十分な税収を生み出せない。地元住民にさらなる負担を求めることは、政治的に非現実的だ。観光業への依存が高まる地域にとって、観光客を拒むことは現実的でも望ましいことでもない。

こうした場合の観光税は、訪問者を抑制しようとするものではなく、費用回収だ。ロフォーテン諸島の提案は、多くの観光地が暗示はするものの、めったに明言しないことを明確にしている。つまり、この場合の観光税の目的は観光客数を減らすことではなく、観光を経済的に持続可能にすることにあるという点だ。

なぜ都市は異なる物語を語るのか

それに対し、イタリアのベネチアやスペインのバルセロナのような有名観光地では、年間を通じて観光客が押し寄せ、政治問題となっている。これらの都市では、観光税は往々にして混雑対策の手段として位置付けられている。日帰り客料金や変動料金制、繁忙期の訪問者数制限は観光客の行動変容を促し、地元住民のための空間を取り戻すことを目的としている。

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観光税収入も重要だが、観光客向けの短期賃貸物件の規制やクルーズ船の入港制限といった広範な取り組みと連動している。観光税は資金だけでなく、有用なデータももたらす。焦点を絞って高い目標を設定し、他の抑制策と連動させない限り、観光客が劇的に減少することはまずない。

違いは効果ではなく、意図にある。大都市は、訪問者の行動を形作る手段として観光税を導入しているのに対し、地方や島しょ部の観光地は、財政上の必要性から同税を運用しているのだ。

真の疑問は「観光税は効果があるのか?」ではない

このように考えると、観光税に関するおなじみの議論は的外れなものに見えてくる。観光税が単独で混雑を確実に緩和できるかという問いに対しては、答えは通常「ノー」だ。しかし、観光によって発生する費用を賄うのに役立つかという問いに対しては、答えは明確に「イエス」だ。

観光は「クリーン」な経済効果として売り込まれることが多い。単に観光客が訪れ、お金を使い、去っていくだけだからだ。しかし実際には、観光客は公共サービスを利用しながら、その費用を十分に支払っているとは言い難い。観光客によって道路は劣化し、ごみの量は増える。救急サービスの需要は繁忙期に急増する。自然は積極的な保護を必要とする。

地方自治体がその差額を賄う財政手段を欠いている場合、何かを犠牲にせざるを得ない。観光税は、観光が単なる体験ではなく、運営費を伴う産業であることを認める1つの方法だ。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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