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2026.02.14 09:00

米国の「内需株高騰」が映すグローバル化後退

Shutterstock.com

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筆者は今月、全米有数の経営者やオピニオンリーダーらとともに米ハーバード大学のセミナーに参加する機会に恵まれた。そこで最も強い印象を受けた講演者のひとりは、オーストラリアのケビン・ラッド駐米大使(元首相、3月に退任予定)だった。

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ラッドは、わたしたちが向かいつつある世界の姿について、明快に、同時に懸念をにじませながら語った。第二次世界大戦後のルールに基づく国際秩序──グローバル化や多国間主義、北大西洋条約機構(NATO)、世界貿易機関(WTO)などを生み出した体制──は、終わりを迎えつつある可能性が高い。それに続くのは、「力こそ正義」や勢力圏によって特徴づけられる、19世紀型の統治への回帰のように見える──そんな見立てだった。

筆者はラッドを悲観論者だとは思わない。むしろ彼は現実主義者であり、強い米国は世界にとって良いものだと信じている。筆者も同感だ。弱い米国は危険な「力の空白」を生み、中国やロシアがそれを埋めようと躍起になるからだ。

新たな世界(無)秩序?

第二次世界大戦後の80年間、米国は開かれた市場や自由貿易から民主主義の拡大、さらにはドルの基軸通貨体制にいたるまで、世界の規範形成に主導的な役割を果たしてきた。わたしたちは比較的平和な時代を享受してきた。

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だが、そうした時代は終わりつつあるのかもしれないとラッドは説く。事実、民主主義は世界的に後退しているように見え、武力紛争の発生件数は第二次世界大戦以降で最も多くなっている。

そして中国とロシアは野心を隠そうともしない。つい先日も、中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は関係をさらに深化させることを確認し、経済、軍事、イデオロギー各面での相互支援を申し合わせた。今月には、米国とロシアの間に残された最後の核軍備管理条約だった「新戦略兵器削減条約(新START)」も失効している。

ルールを書き換える

習に関する本格的な著作も2冊あるラッドは、その習について、1970年代に重要な市場改革を通じて中国の台頭を起動させたかつての指導者、鄧小平のようなプラグマティスト(実利主義者)ではないと注意を促した。習はむしろ、マルクス・レーニン主義的なナショナリストと表現したほうが適切だという。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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