迷走する米国のエネルギー政策
対照的に米国では、政治の行き詰まりや党派対立が大規模なエネルギー増強を妨げてきた。中国が長期的な視点で考えているのに対し、米国の政治家は次の選挙のことばかり気にかけるきらいがある。
米国のシンクタンク、情報技術イノベーション財団(ITIF)の報告書によると、中国はITIFが「国力産業(national power industry)」と呼ぶ分野の多くで米国を追い越す方向にある。国力産業には、軍需産業(たとえば誘導ミサイルや戦車)、軍民両用産業(電子ディスプレイや半導体が一例)、基盤産業(自動車や重機など)が含まれる。
ただし、米政府が国防費を大幅に増額する方針である点は評価できる。米議会はこのほど、国防予算として8390億ドル(約128兆円)を盛り込んだ法案を可決した。国防総省が求めていた額を80億ドル(約1兆2000億円)上回る規模になった。予算はF-35戦闘機、B-21爆撃機、センチネル大陸間弾道ミサイル(ICBM)といったきわめて重要な装備に充てられる予定だ。ドナルド・トランプ米大統領の「ゴールデンドーム」構想の一環で宇宙・ミサイル防衛に130億ドル(約1兆9900億円)超が割り当てられている。
内需系小型株の騰勢が映すもの
株式市場は、新たな投資サイクルの到来をいち早く察知したのかもしれない。
米株式市場では1月、内需関連の小型株が主導権を握り始めた。大型株で構成する株価指数のS&P500は同月に最高値を更新し、月間ではおよそ1.4%上昇したが、小型株の代表的指数であるラッセル2000はそれを上回る5.4%の急騰を演じた。小型株はS&Pを15営業日連続でアウトパフォームし、1996年5月以来の長さを記録した。
筆者はこれを一時的な現象とはみていない。第2次トランプ政権の発足から2月6日までに、ラッセル2000のリターンは約17%とS&P500の約15%を上回っている。小型株の一部──全部ではない──は、トランプ関税の影響を比較的受けにくく、グローバル化と各国・地域の相互依存が後退する世界では長期的に恩恵を受ける可能性がある。
とはいえ、投資する前にはその企業についてしっかりデュー・デリジェンス(適性評価)を行うにしよう。現状、ラッセル2000構成企業の約4割が赤字となっている。
貴金属価格が異例の高値から下落しているいまは、その押し目買いも検討する時期かもしれない。筆者は常々、ポートフォリオの10%を金(ゴールド)に配分することを推奨しており、内訳は現物の金地金と優良な金鉱株を半々にすることを勧めている。これも毎回言っていることだが、定期的なリバランス(配分調整)も忘れないようにしたい。


