経済

2026.03.06 10:15

日本人の雇用に影を落とした「会社は株主のもの」という呪縛

Getty Images

かえりみれば、小泉政権時にアメリカの通商代表が要求した「年次改革要望書」の中に、「非正規採用を増やす」という要望が入っていた。

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そのために、1990年にはわずか2割ほどだった非正規雇用者の割合が、2022年には4割近くにまで増えてしまった。

「会社は株主のもの」という考えを公認会計士試験や司法試験にまで取り入れ、徹底して社会に浸透させた結果がこれだ。

学校を卒業後、社会に出た直後に非正規で働き始め、そのまま30代、40代、50代と年齢を重ねている人たちは収入以外にも、多くの可能性を奪われている。

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誰もが安心して子供を持てる「経済状態」に

こうした「企業の都合で、働く人を調整できる仕組み」で得をしているのは、「会社は株主のもの」と考える人たちだ。

一方、現在も正規雇用で結婚している世代の出産率は自然と人口が増加していた1970年代と大きくは変わらない。安定した収入が持続する安心できる雇用があれば、結婚する人も、子どもを持ちたいと思う人も増えていく。

つまり、40代以下の非正規雇用者を全員正規雇用にすれば、格差の問題も少子化の問題も解決に向かって進むはずだ。

ところが、今、政府が行っている少子化対策は「子どもを産んだ人たち」へのサポート策が中心。非正規の人を救済して格差を埋める政策ではないから、これでは少子化問題の根本的な解決にはつながりにくい。

求められているのは、誰もが安心して子どもを持てる「経済状態」を取り戻すことだ。

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文=原丈人/アライアンス・フォーラム財団 会長

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