サイエンス

2026.02.22 17:30

「巨大で奇抜な帆」を持つ恐竜スピノサウルス、その機能が明らかに 最新研究

スピノサウルス(Shutterstock.com)

スピノサウルス(Shutterstock.com)

スピノサウルスは、これまで発見されたなかで最も個性的な恐竜の一つだ。細長い頭骨、ワニのような歯、水圏環境への適応を備えたスピノサウルスは、これまで古生物学における、獣脚類の生態に関する常識をいくつも書き換えてきた。

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だが、最も想像をかき立てる特徴は、何といっても背中の巨大な帆だ。これは、長く伸びた神経棘からなるもので、驚くことに、高さ約1.8mにも達する構造が背骨の上に屹立していた。

古生物学者たちは数十年にわたり、スピノサウルスがなぜこれほど派手な構造を進化させる必要があったのかをめぐって、論争を続けてきた。体温を上げるためのソーラーパネルだったのか? それとも冷却ファン? 配偶相手を魅了する装飾? あるいはひょっとして、水中生活において、船のかじのように使ったのだろうか? 

幸いなことに、生体力学モデリング研究が、スピノサウルスの帆が何のためにあったのか(そして何には向いていなかったのか)について、これまでになく明確な洞察をもたらしつつある。

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スピノサウルスの巨大な帆の機能

スピノサウルスは、白亜紀中期(約1億1200万~9300万年)に、現在の北アフリカにあたる地域に生きていた。古生物学者たちは、いまある化石証拠に基づき、スピノサウルスの全長は15~18mに達した可能性があると考えている。

顎は細長く、歯は円錐形で、さらに注目すべきことに、体には海岸などでの半水生の生活様式への適応が見られる。スピノサウルスは、史上最大級の肉食恐竜の一つに数えられている。

彼らの代名詞ともいえる特徴が帆であり、この構造は長く伸びた神経棘でできていた。古生物学者たちは、脊椎の上部から高く持ち上がった骨質の突起は、皮膚および軟組織でつながりあったものだったと考えている。外見的特徴としては、スピノサウルスの背中の大部分に被さるような形で、刃のような扇形の構造が存在した。そして、この帆の機能については、これまでの研究者は誰一人としてわかっていなかった。

帆の機能を理解しようとする研究者はまず、スピノサウルスの体の他の部分が何をしていたかに注目する必要がある。恐竜の背中の帆に関して、古くからある仮説の一つが、体温調節を補助する機能をもち、熱を吸収または放出していたというものだ。

この仮説は、約3億年前の単弓類であるディメトロドンなどが似たような特徴を備えていたことからの類推に基づいている。だが、スピノサウルスの骨格は、帆が純粋に体温調節の機能だけをもっていたという仮説に異を唱えるものだ。

2016年に学術誌『Geological Magazine』に掲載された論文で指摘されている通り、スピノサウルスの帆を構成する神経棘は高密度に骨化しており、 血管の痕跡はほとんど見られない。簡単に言えば、これは帆にあまり血管が通っていなかったことを意味する。ラジエーターやヒートポンプといった機能を果たすには、血管が密集していることが必須であることと矛盾するのだ。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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