その作り話に大穴を開ける
社会はAIによって左脳優位になるのか、右脳優位になるのか。目が回るような難問に見える。
コインを投げればよい。どちらの道もあり得る。
だが、想定された仮説全体を文字通りひっくり返す別の角度がある。私たちは、人間の脳を左脳と右脳という枠組みで捉えられる、という前提を置いている。脳に左側と右側がある、と言うことはできる。だが、それは本当に、片側で1つの考え方をし、もう片側で別の考え方をする、ということを意味するのか。
左脳は分析、右脳は創造という通説は、あなたが思っているほど確実ではない。Smithsonian Magazineに掲載されたネイト・フェドリッツィ氏による「Am I Left Or Right Brained?」(2015年9月25日)の記事では、次の要点が示されている(抜粋)。
「人は『左脳型』(より具体的で分析的)か『右脳型』(より抽象的で創造的)か、という考えは、数十年にわたりポップカルチャーの中で流通してきた」
「この概念が長く影響力を保っているのは、人間があらゆるものを分類したいという自然な傾向(周囲の人々も含む)によるのかもしれない」
「特定の精神過程が右半球または左半球のいずれかで起こりやすいのは事実だが、このテーマの研究では、どちらか一方の側により強いネットワークがあるという証拠は見つかっていない」
「研究は、創造的課題でも数量的課題でも、脳の両側が協調して働くことを示している」
左と右が対立していないとき
多くの人にとって驚きなのは、論理に基づく左脳と創造に基づく右脳という境界を信じるよう育てられてきた、という点だろう。直感的に魅力的に思える。創造的な課題をしているときに右脳が回転しているのを感じ、分析的な課題をしているときに左脳が唸っているのを感じる、と主張する人もいるかもしれない。
それは信念を刷り込まれた結果なのか、それとも本当に起きているのか。
この白熱した議論には踏み込まず、AIに関する本筋、すなわちAIが脳の片側をもう片側より支えているのか、という点に戻る。
もし脳が「分析の左脳」と「創造の右脳」から成っていないのだとしたら、AIは片側だけでなく脳全体を活性化しているはずだ。別の考え方もある。AIに質問すると、回答を理解するために脳全体が関与する。したがってAIは、間接的に脳の片側だけでなく脳全体を刺激することになる。


