10年越しの賭けに出たGolem
Saladが分散コンピュートのWeb2的アプローチを体現するなら、Golem Networkは同じ課題にWeb3側からさらに長く取り組んできた。
Golemは2014年に立ち上がり、イーサリアム・ネットワークでも初期のプロジェクトの1つとなった。2016年のICOでは、開始から29分で82万ETHを調達した。ホワイトペーパーが描いたのは、許可不要(パーミッションレス)なピアツーピアの計算資源マーケットプレイスで、誰もが遊休ハードウェアを貸し出し、トークンで支払いを受け取れるという構想だった。
5カ月前にGolemに参加し、商用化を担うマーティン・ベストは、10年前を振り返ってこう語る。「当時はSF小説のような話でした。ほとんど抽象的で、理解が難しかった」。技術が追いついていなかったのだ。分散型コンピュートは、暗号資産アプリケーション全般と同様に、スケーラビリティ(拡張性)とセキュリティという課題に直面していた。
Golemは開発を続けた。プロジェクトは今も、トレジャリー(財務保有資産)に約3億ドル(約459億円)相当のETHを抱える。不祥事はなく、崩壊もしなかった。一方で、大きなブレークには至っていない。ネットワークの提供者(プロバイダー)は約730で、中央集権型の競合が運用する規模のごく一部にとどまる。
それでもベストは、今こそタイミングが合ってきたと主張する。「おそらく今、変曲点に到達しつつあります。以前は抽象的だったり、技術的に不可能に見えたりしたものが突然揃って、実現可能性がとても高くなり始めているのです」。
SaladとGolemの提携
昨年末に発表されたSaladとGolemの提携は、Web3インフラがWeb2の計算ビジネスの採算性を改善できるかを試すものだ。
Saladは現在、中央集権型のマーケットプレイスとして運営されている。支払いは従来型の決済事業者を通り、利用量の追跡は中央集権型の請求プロバイダーで行う。190カ国のGPU提供者への越境支払いには、為替手数料、銀行手数料、処理コストがかかり、収益の5%を超えることもある。
提携では、Saladの商用ワークロードの一部をGolemの分散型プロトコル経由で流す。当初の焦点は、オンチェーン決済(ブロックチェーン上での決済)とGolemの分散型請求レイヤーで、こうした手数料を削ぎ落とせるかどうかだ。将来的には、Salad上のGPU提供者が、ギフトカードやPayPal送金の代替として、Golemのネイティブ暗号資産であるGLMトークンを受け取れるようになる可能性もある。
マイルズは9年前にGolemのホワイトペーパーを読んだという。「彼らが記述していたものを読むと、私たちが今日構築したものと非常によく似ています」。SaladがWeb2の道を選んだのは、10年前に実ビジネスを作る上でそれが現実的だったからだ。今Golemのプロトコルが成熟し、検証に使える実収益の流れもある中で、両チームはハイブリッド・モデルが機能するかを探っている。
「『地味なことこそ魅力的』なのです」とベストは段階的アプローチについてこう表現した。「最初から何もかも一気にやろうとするのではなく、実際に1段ずつ着実に進めようとしているのです」。


