カルチャー

2026.02.24 15:30

MON7A × 日比野コレコ Z世代が向き合う「多様性」と「孤独」

MON7A|アーティスト(写真左)・日比野コレコ|作家(同右)

MON7A|アーティスト(写真左)・日比野コレコ|作家(同右)

「多様性の時代と言いながら、理解する“フリ”で止まっている」 同世代の感情をすくい上げてきた二人が語る、今とこれから。

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2007年生まれの現役高校生アーティストMON7A(もんた)。2次元的なビジュアルや独自の音楽スタイルでZ世代の注目を集め、2025年10月には「おやすみTaxi」でアーティストデビュー。TikTokのフォロワーは150万を超える。

2003年生まれの作家・日比野コレコは、高校在学中に書いた『ビューティフルからビューティフルへ』で新人の登竜門である文藝賞を受賞し、デビュー。『たえまない光の足し算』では25年の芥川賞候補にも選ばれるなど、若者の心の揺らぎを鮮烈な比喩とリズム感のある文体で描き出す作風が評価されている。
 
SNSやAIの普及が価値観に大きな影響を及ぼしている今。音楽と文学という異なる分野で活動しながら、どちらも“同世代の感情”をすくい上げてきたふたりは、今の時代をどうとらえ、どんな未来を描いているのか。

──日比野さんはデビュー作で、お笑いやラップのリズムを取り込みながら、同時に古典文学の歴史を踏まえた作風が、新しい世代の感性をとらえていると評価されています。MON7Aさんは学校机に足をのせたポーズのTikTok動画が若い世代を中心にトレンドとなり、「もんた界隈」という流行語まで生まれました。さらに現在では恋愛リアリティ番組への出演やミュージシャン活動など、活躍の場を広げています。若い世代から支持されるおふたりが、創作で意識されていることはありますか?

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MON7A:俺は自分に自信があるほうではなくて、めちゃくちゃ自分を客観視するタイプなんです。TikTokで動画を上げ始めた時も「MON7Aという存在をかっこいいと思ってもらうためには、今までにいない“新しい男の子像”を目指さないといけない」と考えて、あえてゆるい雰囲気を意識したり、学校内で制服を着て撮影したり、セルフプロデュースを徹底していました。

日比野コレコ(以下、日比野)私はZ世代的な文章スタイルといわれることもありますが、歴史のなかにルーツを残したいという思いがあり、文学史のどこに位置づけられるのかを意識して、現代的な表現にとどまらず、古今東西の表現を取り入れたりしています。情報量が多い時代なので、昔だったら好きなアーティストの作品を全部チェックするのが主流だったと思うんですけど、今はこの著者のこの一冊、一冊のなかでもこの一文が好き、というようにかいつまんで影響を受けることも多いです。

「多様性はまだ標語」

MON7A:俺たちの世代って学校で「多様性の時代だよ」と言われてきたじゃないですか。でも実際には、多様性を受け入れている“フリ”をしている、ということも多い気がしています。俺は矢沢あいさんの『NANA』に出てくるようなパンクファッションが好きで、一般的な高校生の格好とは全然違ったので、本当に受け入れてくれる人なんてほとんどいなかった。俺自身がそうだったからこそ、いろいろな人の考えを知って、誰かを傷つけないためにはどうすればいいのか、すごく考えています。 

微妙な違いだからこそ気をつけるべきだし、やっぱりSNS上でも、主語のデカい発言をする人は嫌われますよね。 

日比野:今おっしゃっていた「多様性」という言葉は、今の時代はまだ「標語」でしかないんだと思います。言葉は理解していても、行動がそこに追いついていない。そのバランスの取り方が知りたくて、MON7Aさんのように「どう見られるかを意識すること」と「リアルな本音を見せること」が両立できている人にみんなが注目しているんだと思います。

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文=フガクラ 写真=平岩 亨 ヘアメイク=桑原美恵 スタイリスト=入山浩章

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