──MON7Aさんが恋愛リアリティ番組『今日、好きになりました。』で共演者への思いを歌った「僕のかわい子ちゃん」は、YouTube上で400万再生を記録しています。先ほどの話で言うと、出演者のキャラの濃さを楽しむ恋愛リアリティ番組に、MON7Aさんの等身大の歌詞が重なったことで、多くの人が共感を覚えたのかもしれません。
MON7A:確かに、リアルかどうかは気にします。セルフプロデュースするときも、自分より下の世代に見てもらうためにどうすればいいかをよく意識するんです。なぜかというと、多様性もあって、こんなにたくさんの人といろんな手段でつながれる時代なのに、俺は孤独を感じるときがあって。俺と同じ気持ちの若い人はきっといるだろうし、自分の音楽やタレント活動でリアルな気持ちを伝えることで、その人たちの孤独に寄り添いたいなと思っているんです。
日比野:自分よりも下の世代を意識することは大事ですよね。若いうちは、どうしても上の世代を強く意識して作品をつくってしまいがちですが、いずれは下の世代に向けてつくらなければならなくなりますし。孤独という話だと、確かに、コミュニティがどんどん細分化して、そのコミュニティどうしで分かり合いづらいというか、バラバラになっている感覚がありますね。
──価値観が細かく枝分かれしていくなかで、これから先、どんな表現や感性が時代を動かしていくと思いますか?おふたりが「未来を感じる」と思う存在がいれば教えてください。
MON7A:尊敬するアーティストに、XGやIVEにアクセサリーを提供しているTomoya Nakagawaさんという方がいるんです。3Dプリンターを駆使した、Tomoyaさんだけの独創的なデザインの作品が大好きで。
技術が進歩して自分の想像したものをそのまま出力して着飾れるようになれば、それぞれの考え方の違いも、魅力的な個性のひとつとして広く受け入れられるようになるかもしれないですね。
日比野:私の注目している人は、詩人で作家の水沢なおさんです。水沢なおさんの書くものには、瑞々しいけれど原始的な言葉の力があって、いつも励まされます。主語がデカい言葉はSNSでは受け入れられづらいという話がありましたが、それこそ小説ではSNSと違って“主語が大きい言葉”を書けることこそが、大きな可能性だと思っています。
私が好きな『ナジャ』という小説に「美は痙攣的なものだ。さもなくば存在しない」という一節があって。断言口調で主語も大きい。それなのに多くの人を言葉の枠内に引き込む力があって、それが面白いんです。同じように、この世のすべての人を包括できるような、すごく大きな主語の言葉を書くことができれば、誰かの寂しさをなくせるかもしれない。MON7Aさんもおっしゃっているように、この先は、違いを線引きするのではなく、受け入れる幅が広がる多様性のかたちが生まれるような気がしています。
もんた◎2007年、東京都生まれ。2次元的ビジュアルと独自の動画スタイルで人気を集め、25年にはABEMAの恋愛リアリティ番組『今日、好きになりました。』へ出演。8月には「おやすみTaxi」でアーティストデビュー。26年1月27日にメジャーデビューが決定している。
ひびの・これこ◎2003年、奈良県生まれ。当時18歳で『ビューティフルからビューティフルへ』でデビューし、第59回文藝賞を受賞。『たえまない光の足し算』では第173回芥川賞候補作になるなど、リズム感のある文体や独自の比喩表現で注目を集める。


