競技種目やメダル数によって算定方法は異なり、国ごとの違いも大きい
報奨金の算定方法は国ごとに異なる。金メダルに対する報奨金が3万7500ドル(約581万円)と、全体の中では中位に位置する米国では、個人競技か団体競技かを問わず、金メダルを獲得した選手に対しては、米国委員会が一律の金額を支給する仕組みになっている。これに対し、チェコでは、競技に出場する選手数に応じて12段階の報奨金表が設定されている。そのため、たとえばスケルトン競技の金メダリストは約11万7000ドル(約1800万円)を受け取るものの、男子アイスホッケーの金メダリストが得るのは約3万1000ドル(約481万円)にとどまる。
もう1つの重要な違いは、複数のメダルを獲得した選手を各国がどう扱うかという点だ。たとえば米国では、表彰台に立つたびに上位3位の報奨金を満額で受け取れる。フィンランドでは支給額に上限があり、個人競技の金メダル2個分に相当する約11万8000ドル(約1800万円)が上限とされている。
政府や委員会だけでなく、スポンサー企業が資金を拠出する場合も
報奨金の支給元も国によって異なる。各国の国内委員会が支払う場合もあれば、政府が担う場合、あるいは両者が共同で拠出する場合もある。支給対象が必ずしも競技者本人に限られない国もある。たとえばスロベニアでは、五輪委員会と経済・観光・スポーツ省が合計16万2000ドル(約2500万円)を拠出し、個人競技の金メダリストとそのコーチが半分ずつ分け合う仕組みになっている。ニュージーランドでは、五輪委員会から直接の報奨金は支給されないが、代表チームのアパレルスポンサーであるKathmandu(カトマンズ)が、個人競技の金メダリストに約3000ドル(約47万円)を支払うと約束している。
報奨金を非課税とすることや年金などの特典も手厚く用意
こうした報酬は、一時金にとどまらないことも多い。ドイツでは、金メダルに対する約3万5000ドル(約543万円)の報奨金が非課税となっている。米国でも、年間の総所得が100万ドル(1億6000万円)未満の選手であれば、メダル報奨金は非課税だ。クロアチアでは、金メダリストが55歳になると、同国の平均的な手取り月収(現在は約1600ドル[約25万円])に相当する年金が毎月支給される。ノルウェーでは、どの色のメダルであっても獲得した選手は自動的に年約1万7000ドル(約264万円)を受け取れる。北マケドニアでは、メダリストに終身の月額手当が支給され、金メダルの場合は同国の平均的な手取り月収の1.5倍にあたる約1300ドル(約20万円)が支払われる。
ポーランドの個人競技の金メダリストは、ポーランド五輪委員会から約21万ドル(約3300万円)相当の現金や記念品を受け取れるだけでなく、トヨタ・カローラや家具付きの2部屋のアパート、絵画、旅行券、最大約800ドル(約12万円)相当の宝飾品も手にすることができる。
もちろん、すべての国がメダル獲得者に手厚いわけではない。たとえばアイルランドや英国では、エリート選手向けの一般的な助成制度を超えて、成績に直接ひも付いた報奨金は支給されていない。
開催国イタリア、選手が活躍し負担額が増加することを望む
しかし、他の国々では支給額が急速に膨らむ可能性がある。フォーブスの試算によれば、イタリアは2022年の北京冬季五輪で獲得した17個のメダルに対し、総額270万ドル(4億1900万円)超を支払ったとみられる。同国は今回の大会でも、金メダリストに18万ユーロ(約3300万円。1ユーロ=185円換算)を支給する方針を掲げており、今年の負担額も相当なものになるのはほぼ確実だ。
もっとも、開催国であるイタリアにとって、それは歓迎すべき事態でもある。イタリアの五輪委員会は、メダルの数に上限なく、獲得した分だけ報奨金が支払われる仕組みであることを踏まえ、「そうなることを願っている」とフォーブスに語っている。


