欧州

2026.02.07 08:00

ロシアは戦車を大量に新造できているのか? 唯一の工場が直面する「三重苦」

ロシア・モスクワで2020年6月20日、戦勝記念パレードのリハーサルに参加するため、赤の広場に向かうT-90M戦車=シャッターストック

ロシア・モスクワで2020年6月20日、戦勝記念パレードのリハーサルに参加するため、赤の広場に向かうT-90M戦車=シャッターストック

ロシアで戦車の新造を手がける唯一の工場であるウラルバゴンザボート(UVZ)の生産数、とりわけ超近代的なT-90M「プラリフ(ブレークスルー)」戦車の生産数については、大きく食い違う報告が飛び交っている。ロシアが2022年2月にウクライナに対する戦争を始める前、T-90Mの生産数は年間およそ60両だった。だが、現在の年産数は最大250両にのぼるとの主張もある。本当にそこまで生産が加速したのだろうか。それとも実際は200両以下、あるいは100両にも満たないのか。

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生産ラインから出てくる戦車を直接数えることはできない。しかし、この工場を運営する企業としてのUVZに目を向けることはできる。ロシア側のオープンソース情報だけを見ても、その内情はひどく悪化している兆候がある。サプライヤー、顧客、従業員のいずれに関しても大きな問題を抱えているのだ。唯一救いがあるとすれば、UVZは最終的には国が所有するかたちになる(編集注:UVZは非公開の株式会社で、ロシア国営軍需企業ロステックの傘下にある)ため、破産を免れ、ゾンビ状態のまま無期限に存続できることだろう。

戦車ビジネスは好調ではない

ロシアで最も先進的な戦車への注文が殺到しているのなら、「プーチンのお気に入りの工場」として知られるこの工場は資金が潤沢にあるように思えるかもしれない。とくに、UVZが新しい戦車を生産できるロシア唯一の工場であり、古い戦車の改修だけを行う工場ではないことを考えれば。ところが現実はといえば、UVZではまさに資金繰りが深刻な問題になっているのだ。UVZは2016年に破産の危機に陥り、政府の支援でなんとか乗り越えたが、現在も状況が大きく改善しているようには見えない。

ルミャンツェフ機械製造会社、チェリャビンスク牽引車両工場、マグニトゴルスク製鉄所(MMK)など多くのサプライヤーが、未払い代金を理由にUVZを相手取って裁判を起こしている。MMKは債権回収を目的とした訴訟を継続的に提起している。

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UVZは政府との間でも金銭絡みの係争になっている。同社は5つの「世界水準の技術」(内容は不明)を開発する契約で政府から支払いを受けたが、それらは結局納品されなかった。2025年12月、裁判所は契約不履行を理由に、UVZに対して資金の返還などを命じた。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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