人員問題への対応策としてUVZは2022年11月、連邦刑執行庁との間で、受刑者250人を溶接工や機械操作員、旋盤工、整備士、クレーン運転手として工場で働かせる協定を結んだ。
通常、戦時には生産需要に応えるため、戦車工場は民生用の生産ラインから配置転換するなどして人員を増やすものだ。ところがUVZは2025年11月、約1割の人員削減を発表した。うわさでは、実際の人員削減幅はもっと大きく、最大で全体の5割に及ぶのではとも言われている。人減らしは主に民生部門(UVZは鉄道貨車も製造している)で行われる見通しだが、詳細は明らかにされていない。
人員削減は、UVZがゆゆしい事態に陥っていることを示すもうひとつの兆候だ。はたして労働力を減らして戦車を増産することなどできるのだろうか。
工作機械の制約
西側の制裁を受けてロシアは、軍需生産で依存してきた電子部品などハイテク製品の大半を合法的に輸入できなくなっている。UVZのウラジーミル・ロシュプキン執行取締役は、同社はもはや輸入に依存していないと主張しているが、信憑性は薄いと言わざるを得ない。
とくに戦車生産は、輸入品の精密工作機械に依存している。ウクライナの情報機関が作成したデータベースによれば、UVZは生産工程で外国製の工作機械を266台使用しており、うち148台は北大西洋条約機構(NATO)諸国製だという。これらの機械には多軸CNCフライス盤、高精度のギヤシェーパー(歯切り盤)、火炎・高周波焼き入れ装置、重負荷対応の平面研削盤などが含まれている。いずれも装甲車両の生産に不可欠なものだ。
時間の経過にともない、これらの機械には故障が発生し、メンテナンスや部品交換が必要になる。だが現状、新たな部品に交換することは不可能だ。ロシアの代替調達先とされる中国もこの不足を補うことはできず、戦争が長引くにつれて問題はますます深刻になっていく公算が大きい。
「ポチョムキン」式戦車工場?
ロシア政府は2025年11月、同月25日から12月4日までの期間、UVZに対して抜き打ち査察を実施すると発表した。理由は示していないものの、この措置は当局側が工場の運営状況に満足していないことを示唆する。査察結果はこれまでのところ報告されていない。


