宇宙

2026.02.09 10:30

一生に一度の天体現象「かんむり座T星の新星爆発」 2026年こそ目撃できるか?

約80年ごとに新星爆発を起こす、かんむり座T星の想像図(Ward DeWitt/Getty Images)

約80年ごとに新星爆発を起こす、かんむり座T星の想像図(Ward DeWitt/Getty Images)

「一生に一度」の天体現象を、今年こそ拝めるか──世界中の天文学者が今、心待ちにしているものがある。「かんむり座T星(T CrB)」の新星爆発である。英語で「ブレイズ・スター(火炎星)」の異名をとるこの星は通常、肉眼では捉えられない暗い天体だが、およそ80年周期で爆発すると眩しい輝きを放ち、私たちの目にも見えるようになる。

advertisement

かんむり座T星の新星爆発が間近いことを筆者が最初に記事にしたのは2024年5月だった。その記事と翌6月の記事では、1866年と1946年に観測された新星爆発が、今回は80年経たずに少し早く爆発するとの科学者の予想を伝えた。しかし、この予想は外れた。2025年中に爆発するとの予想も当たらなかった。

フランス・パリ天文台のジャン・シュナイダーが米国天文学会(AAS)発行の研究ノートResearch Notes of the AASに発表した論文によれば、2026年中にかんむり座T星が新星爆発を起こすなら、その可能性が最も高いのは統計学的にみて6月25日だという。その頃、かんむり座はちょうど夜空高くに昇っている。

かんむり座と、かんむり座T星の新星爆発が観測されるとみられる位置(矢印)を示した星図(NASA/JPL-Caltech)
かんむり座と、かんむり座T星の位置(矢印)を示した図(NASA/JPL-Caltech)

かんむり座T星とは

かんむり座T星は「北の王冠」の異名をもつ北天の小さな星座、かんむり座にある連星天体だ。地球からは約3000光年離れていて、赤色巨星と白色矮星が互いの周りを回っている。赤色巨星からは水素を含んだガスが放出されており、白色矮星の表面に引き寄せられて降り積もっていく。降着物質が一定量に達すると白色矮星は熱核爆発を起こす。

advertisement

新星爆発の増光は短命

新星爆発を起こすと、かんむり座T星は通常の約1000倍もの輝きを放つ。普段の明るさは10等級と暗く、望遠鏡なしでは観測できない。それが新星爆発による増光時には、北極星と同じ2等級まで明るくなるとみられている。

天文学者や星空ファンにとっては印象的な天体だが、夜空で最も明るい星の光にはかなわない。また、数カ月間にわたって輝き続ける超新星爆発と異なり、かんむり座T星のような新星爆発はごく短命な現象だ。劇的な明るさを放つのは2~3夜だけで、肉眼で観測できるのもせいぜい1~2週間。その後はまた元の暗さに戻り、中型望遠鏡を使わなければ見えなくなる。

かんむり座T星の見つけ方

かんむり座T星を戴くかんむり座は、北半球の春から夏にかけて、うしかい座とヘルクレス座の間に見える。

2026年6月25日(東京:21時ごろ)の南南東の空(Stellarium)
2026年6月25日(東京:21時ごろ)の南南東の空(Stellarium)

まず北斗七星を見つけ、「ひしゃくの柄」のカーブをそのまま伸ばしていくと、うしかい座の1等星アルクトゥルス(アークトゥルス)に出会う。次に「夏の大三角」の一角、こと座の1等星ベガを探そう。この2つの明るい星の中間、ややアルクトゥルス寄りに、7つの星が半円形の弧を描く星座がある。これがかんむり座だ。

かんむり座T星は今年、新星爆発を起こすのだろうか。そうなることを願おう。また、それが春から夏を経て初秋までの間に起こると期待したい。そうすれば、かんむり座が夜空に見えているうちに、新星の輝きをこの目で確かめることができる。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事