「地獄に堕ちるわよ」のパネルトークも
続いて行われたのが、今後配信される2作品の出演者や製作陣を招いたトークパネルだ。特に注目が集まったのは、4月27日より配信がスタートする新シリーズ「地獄に堕ちるわよ」。主演の戸田恵梨香、瀧本智行監督が登壇し、モデレーターはNetflixコンテンツ部門エグゼクティブ・プロデューサーの岡野真紀子が務めた。
本作は、占い師・細木数子の半生を描く、日本の映像業界でも極めて挑戦的な題材を扱う。視聴者からは賛否を含めた議論が生まれることが想定される作品とあって、主演の戸田、瀧本監督ともに、本作を引き受けることには迷いもあったようだ。
瀧本監督は、当初この企画を2度断ったことを告白。「正直に言えば、細木数子という存在が好きではなかった」とした上で、岡野から「だからこそ、あなたが撮る意味がある」と説得されたこと、そして昭和という時代を描く創作的魅力が決め手になったと語った。
さらに印象的だったのが、クランクイン約1カ月前、最終回の準備稿をめぐるエピソードだ。瀧本によれば、衣装合わせの場で戸田から「この最終回で本当にいいのか。何を伝えたいのか」と鋭く問いかけられたという。瀧本自身もまだ詰めきれていないところがあったが、演じる役柄が憑依したかのような戸田の迫力を「岩下志麻のようだった」と振り返り、「この人なら細木数子を演じ切れると確信した」という。難しい題材に挑む作品だからこそ、現場でのやりとりが極めて密だったことが、どう作品に反映されているのかが気になるところだ。
視聴者へのメッセージとして、瀧本は「色眼鏡で見てもいいし、怖いもの見たさでも構わない。まずは自由に観てほしい」と呼びかけた。戸田も「見進めるうちに、テレビで作られたイメージとは異なる“人間としての細木”が見えてくるはず」と語った。
昭和・平成を生きた、必ずしもクリーンとは言えない実在の人物を描いた作品は、「全裸監督」を筆頭にNetflixの十八番だ。題材に対するリスクを引き受けながら、Netflixが「地獄に堕ちるわよ」で再び熱い議論を伴うブームを巻き起こす可能性は十分にある。
イベントの最後に再び登壇した坂本は、「Netflixは、視聴者にとってなくてはならないサービスであると同時に、クリエイターにとっても不可欠なパートナーであり続けたい」と語り、日本のコンテンツ制作への継続的な投資をあらためて強調した。インフラ投資、長期的パートナーシップ、リスクを取る制作判断の積み重ねが、2026年以降の日本発コンテンツの競争力をさらに高めることになりそうだ。


