ダウンタウンに油断ならないヤツだと思われていた、名物Pが明かす「ヒットを生む組織づくり」の真髄

『ダウンタウンDX』ほか数々の人気番組を手掛けてきたテレビプロデューサー西田二郎氏

さらに、ダウンタウンは西田氏をある意味、危険な存在だと思っていただろうと振り返る。前述の通り西田氏は、収集したゼロ次情報を頭の中にあえて未処理の状態で溜め込んでおき、企画立案に使う。西田氏が詳細をダウンタウンに伝えることは、決してなかった。

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「ダウンタウンは企画をきっちり形にする実務者なので、多分、僕のことはいい加減というか、ぼわっとしたイメージで提案している危ない奴だと感じられていたはずです。信じ切って言葉に乗っかったら、火傷すると。だからこそ、『西田の企画を俺らなりに処理したらなアカン』と考えて、おふたりはより力を発揮してくれていたんだと思います」(西田)

プロデューサーとして自らへの信頼度をあえて下げることで、番組MCの自律性を刺激してより高いパフォーマンスを引き出し、番組の品質を向上させていく。それは、組織やプロジェクトを率いるビジネスリーダーが、メンバーの主体性を引き出したい時に、使える振る舞い方かも知れない。

ヒット番組のノウハウを、企業のイノベーション創出に生かす

西田氏は2025年3月に読売テレビを退職後、静岡新聞社・静岡放送でのCCIO(チーフコンテンツイノベーションオフィサー)の職や大学教員を務める一方で、プロデューサーとして培った創造性やイノベーション力を生かし、一般企業向けにコンサルティングも行う。

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「組織に新しい発想やアイデアが生まれて、育つ文化がないと、イノベーションも生まれてきません。そのために今、一人ひとりが自己改革をして、自発的なアクションを起こす組織の素地を作っています。僕を含め人は、前向きな感情にとても影響されやすい。だから組織のリーダーには、たくさんメンバーを褒めて、どんどん発想を促してほしいと思います」(西田)

しかし、そうした取り組みが多くの理解を得るまでには、ハードルがある。新しい発想やアイデアを生む組織づくりには賛同できるものの、「公平に耳を傾けること」や「メンバーの自発的なアクションを受け入れること」に苦戦するリーダーが目立つという。

背景には、コントロール喪失の懸念や、自分と同意見のメンバーが優秀だと思い込む認知バイアスの存在が見え隠れする。西田氏は、リーダーの真価は未来を見て、組織にそして経営に本当に必要なものは何かを、見極める力にあると示唆をする。

「今でもやはり、僕は可能性を追い求めたい。今を生きるよりホンのちょっとだけ未来を見て生きていたい。番組制作でそれを行ってきたボクの経験が、今度は一般の企業で役に立てば嬉しいです」(西田)

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西田二郎(にしだじろう)◎日本テレビ系列の準キー局・読売テレビ入社後、『11PM』『EXテレビ』を経て、『ダウンタウンDX』『松紳』『ガリゲル』などのバラエティ番組を演出、プロデュース。タレントに頼らないバラエティ『西田二郎の無添加ですよ!』で民放連盟賞優秀賞。その後、営業企画、編成企画やビジネスプロデュース局で事業開発、DX推進などに携わり、2025年3月同局退社。現在は『水曜どうでしょう』の藤村忠寿氏とともに「未来のテレビを考える会」代表として、放送局の垣根を超えてメディアの未来のための活動を行うほか、静岡新聞社静岡放送CCIOも務める。2025年11月よりインターネットで配信されている『DOWNTOWN+』では前説も自ら担当し、「天の声」として松本人志氏との掛け合いを行っている演出も話題に。音楽活動では「NJ」の名義で、日本クラウンに所属し、FM大阪で自身のラジオ番組も持つ。

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