若者に広がるメンタルヘルスの危機は、世界の公衆衛生における最優先課題だ。WHO(世界保健機関)によると、10歳から19歳の若者の約7人に1人が精神障害を経験しているという。現在、うつ病、不安障害、行動障害は10代における主要な病気や障害の原因となっており、自殺は15歳から19歳の死因の第3位を占めている。
多くの専門家が、若者のメンタルヘルスとオンラインでの活動との関連性を調査している。近年では、ソーシャルメディアをはじめとするテクノロジーが自分に与える影響を自覚する若者が増えている。アムネスティ・インターナショナルが最近実施した調査によると、13歳から24歳の若者の74.3%が、自分の望む以上にソーシャルメディアをチェックしていることが分かった。
フェイスブック、インスタグラム、グーグルは、自傷のリスクがあるユーザーを特定し、支援を提供する新しい方法を試みている。しかし、多くの若者がテクノロジーの有害な影響を受けており、米国公衆衛生局は2023年、若者を守るための行動を呼びかけた。
公衆衛生局長官の勧告は、次のように指摘している。「これまで、若者を守る負担は主に子供自身や青少年、そしてその家族にのしかかってきた」。
テネシー州選出の共和党上院議員、マーシャ・ブラックバーンは2025年5月、「子供オンライン安全法(Kids Online Safety Act)」を提出した。この法案は、17歳未満の利用者を保護するため、オンラインプラットフォームやビデオゲーム、メッセージングアプリ、動画配信サービスに一定の制限を課すことを目的としている。
現在、この法案は商業・科学・運輸委員会で審議中だ。一方で、デジタルコンテンツの検閲につながる可能性があるとして批判の声もあり、大手テック企業は強力なロビー活動で反対している。超党派の政府改革団体「イシュー・ワン(Issue One)」の試算によると、大手テック企業は2024年10月下旬までに5100万ドル(約79億円)以上をロビー活動に費やしたという。
米国は、この問題に関してオーストラリアに遅れを取っている。オーストラリアでは昨年12月、16歳未満によるフェイスブック、インスタグラム、ティックトック、レディット、ユーチューブなどのSNSの利用を禁止した。プラットフォーム側が、未成年者のアカウント作成を防ぐための「合理的な措置」を講じない場合、最大約5000万豪ドル(約55億円)の罰金が科される。フランスも今年1月26日、15歳未満のソーシャルメディア利用を禁止する法案を可決した。
英国は、既に青少年を保護することを目的とした厳格な法律「オンライン安全法(Online Safety Act)」を可決しているが、現在はソーシャルメディア規制をはじめとする追加措置も検討している。法律事務所メイヤー・ブラウンによると、この法律に違反した企業には、年商の最大10%に相当する罰金が科される可能性があるという。これを受け、テック企業の間では年齢確認ツールの提供など、対応が急速に活発化している。


