起業家

2026.02.16 13:30

南場智子「日本は世界へ出よ」AI起業家を育むDelightX

南場智子|デライト・ベンチャーズマネージングパートナー/DeNA代表取締役会長

南場智子|デライト・ベンチャーズマネージングパートナー/DeNA代表取締役会長

日本経済の起爆剤として注目を集めてきたスタートアップ・エコシステム。その中心にいる南場が今、ベイエリア滞在型の起業支援プログラムに注力する理由とは。

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ディー・エヌ・エー(DeNA)を創業し、現在は同社代表取締役会長を務める傍ら、独立系ベンチャーキャピタル(VC)「デライト・ベンチャーズ」のマネージングパートナーを務める南場智子。デライト・ベンチャーズは2025年から、AIに特化した起業家を対象とした、サンフランシスコ・ベイエリア滞在型の起業支援プログラム「DelightX」を始動した。経団連副会長として「スタートアップ躍進ビジョン」を取りまとめるなど、エコシステムの構築を牽引してしてきた南場に「なぜ今、世界への挑戦が必要なのか」について聞いた。

──AIの技術進化や普及の加速を、スタートアップを支援する立場からどうとらえていますか。 

南場智子(以下、南場)インターネット到来以来の大きな波が、まさに今来ています。技術の進化を超えて、産業全体が根本的に変わらざるをえない「場替え(ばがえ)」です。私たちが慣れ親しんだデジタル社会も、AIエージェントが当たり前になる世界へと一変するでしょう。この波はすべての領域に及び、変化のスピードも非常に速い。ただ、基盤モデルやチップ、クラウドを握る巨大プレイヤーだけが勝者になるわけではありません。彼らの技術を活用し、消費者や企業にサービスを届けるアプリケーション領域にこそ、無限のビジネスチャンスがあります。

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DeNAがAIにオールインしているのも、大きな波をとらえるためです。そして、DeNA本体の投資先と、DeNAをLPとして設立したVCのデライト・ベンチャーズの投資先、両方を合わせて「DeNAギャラクシー」と呼び、出資比率にかかわらず求められればいつでも支援する体制をとっているのも同様の狙いです。多くのスタートアップとつながり、AIの波による変化の全体像をとらえたいと考えています。

──その大きな波に乗るうえで、日本のスタートアップエコシステムには何が足りませんか。

南場:日本のエコシステムは、ここ10年で優秀な人材が集まるようになり、大きく進歩しました。しかし、シリコンバレーとは「環境の違い」が残っています。最大の違いは「試合の規模」です。日本のシードラウンドでの資金調達額の中央値が4000万円程度なのに対し、シリコンバレーでは5億円近い。スタートアップが想定する試合の規模が根本的に異なります。

投資家のマインドセットも違います。日本では「なぜ勝てるんですか?」「本当に実現できるんですか?」と、ネガティブチェックが入りがちです。一方アメリカは、「一見くだらないと思えるアイデア」にも耳を傾ける。「なぜそれをやりたいのか、ストーリーを教えてください」と聞く。とんでもない発想をめでる。そういうアイデアこそが大きな変革を起こすことを、彼らは目の当たりにしてきたからです。日本に足りないのは、そうした環境です。

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文=加藤智朗 写真=ヤン・ブース

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