──スタートアップエコシステム発展のために必要なことは。
南場:日本のエコシステムを育てるには、政策面の後押しも欠かせません。22年策定の「スタートアップ育成5か年計画」では公共調達について3%をスタートアップから行う目標を掲げていますが、実績はまだ半分程度。また米・英・シンガポールには、スタートアップ投資に対する明確な税制優遇があり、それがエコシステムを支えています。日本にもわかりやすいインセンティブが必要ですし、政府のあらゆる施策に「スタートアップ優遇」の視点を横串で入れていくことが求められます。
大企業の役割も大きい。スタートアップに少額出資して様子を見るのではなく、思い切ってM&Aする。社内に眠っている技術や事業を切り出してスタートアップとして独立させる。人材の行き来を増やす。何より、スタートアップの製品やサービスを積極的に買うことが、実は最大の貢献になります。
そして政策や資金だけでなく、人の力も欠かせません。日本経済全体のベロシティを高め、イノベーションを生む土壌をつくる。世界水準の戦いに挑む日本人が増えれば、その経験と人脈が日本のエコシステムを刺激するはずです。
南場智子◎1986年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。99年にDeNAを設立し、現在は代表取締役会長。2015年より横浜DeNAベイスターズオーナー。19年デライト・ベンチャーズを創業、マネージングパートナーに就任し、現在に至る。


