起業家

2026.02.16 13:30

南場智子「日本は世界へ出よ」AI起業家を育むDelightX

南場智子|デライト・ベンチャーズマネージングパートナー/DeNA代表取締役会長

イノベーションの「土壌」に立つ意義

──ベイエリア滞在型起業支援プログラム「DelightX」の狙いは。

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南場:世界で大成功する日本人起業家を輩出すること。AIスタートアップの熱狂の中心地は、シリコンバレーを擁するベイエリアです。出身国や人種に関係なく、大きな試合が常に真剣に繰り広げられている。常識外れのアイデアが世界を変えてきた場所だからこそ、野心的な発想に資金が集まります。ここにまず立ってもらいたい。

多くのアクセラレーションプログラムはプロダクトがある程度できてからの参加を想定していますが、DelightXはやることを決めきる前から参加可能。日本で起業して雰囲気に慣れてしまう前に、「乾いたスポンジ」の状態で現地の水を吸って成長してほしい。25年6月に開始した第1期では14人がサンフランシスコでのプログラムに参加し、すでに現地で起業したメンバーも生まれています。
 
私自身はベイエリア流の資金調達を教えることができませんが、Hustle Fund、Pear VC、Floodgateなど、ユニコーンやデカコーンを育て上げたトップティアのベンチャーキャピタリストやシリアルアントレプレナーたちをメンター陣に揃えています。

ベイエリアには中国やインドからの移民起業家が非常に多く、韓国からの移民起業家も1000人近くいますが、日本人は多くても100人程度。日本経済の規模を考えれば、外に出て挑戦する人はもっと多くていいはずです。

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──世界一の環境を知る日本人起業家が増えることは、日本のエコシステムにも還元されますか。

南場:間違いありません。そもそも経済成長を生むイノベーションは偶然起こるものではありません。土壌が必要です。その土壌を構成するのは、変化に対する受容性、既得権益を壊すダイナミズム、創業と廃業のダイナミズム、雇用の創出と破壊のダイナミズム、エネルギーレベルの高いベロシティ(方向性と速度)です。

日本経済は長年、大企業中心の構造で、「安定を維持したがるメカニズム」を内包しています。だからこそ、スタートアップの役割が重要になります。新しい産業を生み、既存の構造を揺さぶる力は、スタートアップにしかない。しかし、活発な動きが起きつつあるものの、規模はまだ極めて小さい。企業価値の「高さ」のある成長が必要でしょう。スタートアップのGDP創出効果は全体の1.85%(約10.5兆円)という調査もある。この動きを、日本経済全体に影響を与えられる規模まで育てなければなりません。

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文=加藤智朗 写真=ヤン・ブース

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