ヘルスケア

2026.02.03 11:30

2月4日は「世界がんデー」 治療技術は進歩するも地域格差は依然埋まらず

Shutterstock

Shutterstock

2月4日の「世界がんデー」は、医療従事者や政策立案者らが、世界的に主要な死亡原因の1つとなっているがんの治療法の状況を評価する機会となる。技術革新によって検査や診断、治療は大きく進歩したが、特に低・中所得国では、格差と不平等が進歩を妨げている。

advertisement

がんの半数近くは予防可能

米がん学会(AACR)によると、2025年に新たにがんと診断された人は世界全体で約2000万人に及び、がんによる死者数は1000万人を超えた。年齢調整がん死亡率は世界的に低下しているものの、人口増加と高齢化により、2050年までに新たに3000万人以上のがん患者が発生するとの予測もある。

世界のがんによる死亡の10件中4件以上は、たばこ、アルコール、超加工食品、肥満、大気汚染など、44の修正可能な危険因子のいずれかに関連している。これは、禁煙の促進や飲酒量の抑制といった公衆衛生上の介入によって、がんの半数近くが予防可能であることを意味する。アルコールは少なくとも7種類のがんと関連しており、肥満は乳がんや大腸がんなど近年増加傾向にあるがんを含む十数種類以上のがんとの強い関連性がある。

がんの予防や治療を巡る地域格差

診断技術や先進治療の科学的な進歩とは裏腹に、がん患者の居住地によって予後は大きく左右される。米国のような多くの高所得国では、報告されているがんの罹患率が高い(2025年には200万人以上)一方で、こうした国々では通常、検診や効果的な治療を受けやすいことから死亡率は低く抑えられている。一方、低・中所得国の多くでは、がんによる負担が大きく、死亡率が高い。

advertisement

例えば、米がん協会(ACS)によれば、子宮頸(けい)がんは少なくともサハラ以南のアフリカ29カ国で、依然として女性の主要な死因の1つとなっている。子宮頸がんの大半はヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされるため、同ウイルスに対するワクチン接種によって大部分は予防できる。だが、これらのサハラ以南の国々では、子宮頸がん検診を受ける女性は1割に満たないのに対し、欧米諸国では8割以上が受診している。HPVワクチンの接種率は、アフリカの一部の国ではわずか4%であるのに対し、オーストラリアとニュージーランドでは85%以上と報告されている。

治療技術の進展と今後の展望

最新の技術と人工知能(AI)の進歩により、がんはかつてより効果的に診断や検出ができるようになった。例えば、AI搭載ソフトウエアは、マンモグラフィーによる乳がん検出やコンピューター断層撮影装置(CT)による肺がん検出で、放射線科医が画像診断を行う際の補助としての役割を担う。検出技術の発達によって早期診断が可能になるほか、早期治療は生存期間の延長にもつながる。

さらに、免疫療法などの標的療法が開発され、がん治療は大きく変わった。免疫療法は、がん細胞と戦うために免疫系を活性化させる特殊な治療法だ。米国の故ジミー・カーター元大統領も、悪性度の高い皮膚がんである黒色腫と闘うために同治療法を用いた。カーター元大統領は免疫療法により最終的にがんを克服した。

技術革新だけでは、世界的ながんの危機を止めることはできない。がん医療における公平性を実現するには、特に高品質な医療の受診が依然として制限されている低・中所得国で、初期診療や検診への投資や国民皆保険制度の実現が不可欠だ。がん治療の未来は、何が可能かだけでなく、誰が恩恵を受けるかによっても左右される。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事