暗号資産

2026.02.04 11:30

一般投資家がスペースXなど「未上場の巨大企業」に投資できる未来、トークン化が拓くか

Costfoto/NurPhoto via Getty Images

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スペースXやOpenAIの株式は、今なお証券市場では購入できない。さまざまな上場観測は絶えないものの、「ユニコーン企業」と呼ばれる巨大テック企業の多くは、上場ゴールを選ばなくなった。彼らは非公開のまま成長を続け、ようやく上場する頃にはすでに成熟企業となっている。

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これは、今日の米国では、有力なスタートアップが未公開(プライベート)市場で巨額の資金を調達できるため、あえて上場(IPO)を先延ばしにする傾向が定着しているからだ。その結果、企業が最も成長する時期に投資できるのは、一部の富裕層や機関投資家に限られ、一般投資家はその機会から締め出されてきた。この「アクセス格差」を打破する手段として、未公開株をブロックチェーン上でデジタル証券化・小口化した「トークン化商品」が登場しつつある。これは、世界で最も価値ある企業への投資機会を一般層へと広げる、新たな金融商品となる可能性がある。ただ実験段階ということもあり、流動性の低さ、法的な権利関係、投資家保護のルールなど未整備な要素を抱えていることも事実だ。

本稿では、一般投資家に新たな富の機会を開く可能性と無視できないリスクに触れ、未公開株トークン化の動向を解説する。

拡大する未公開市場と一般投資家を締め出すアクセス格差、トークン化への期待

1980年代、スタートアップはこぞって上場の鐘を鳴らそうとした。2010年代には、非公開のままでいる競争が始まった。そして今日、企業はトークン化へと競争している。この転換は、次の富が創出される時に参加できるのは誰か、そして誰が傍観者として取り残されるのかを左右する可能性がある。

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数十年にわたり、新規株式公開(IPO)は企業が民間のイノベーションから公器へと「成る」瞬間を示すものだった。だが、低金利の市場環境、そして厚みを増した非公開市場が、その常識を書き換えた。2012年から2022年にかけて、世界のプライベートエクイティ(PE)ファンドの運用資産残高は3倍以上増加し、13兆4000億ドル(約2077兆円。1ドル=155円換算)を超えた。その結果、流動性の低い未上場企業に莫大な資金が集中することになった。

この進化は、明確なアクセス面での格差を生み出した。スペースXやOepnAIといったレイターステージの巨大企業に投資できる機関投資家や内部関係者がいる一方で、一般投資家は、かなり後になるまで、あるいは永遠に、その成長曲線から締め出されている。PE市場は、世界全体で数十兆ドル(数千兆円)規模に達しているが、トークン化された商品を通じてそこにアクセスできるのはごく一部にすぎず、この市場がいまだ初期段階であることを示している。

企業価値1000億ドル超の巨大企業を指数化し、トークン化商品として提供する試み

現在、一部の開発者は、このアクセス格差そのものを指数化しようとしている。すなわち、企業価値がそれぞれ1000億ドル(約15.5兆円)を超えるレイターステージの未上場テック企業の集合に連動する、単一の金融商品である。こうした巨大企業を指数化可能なカテゴリーとして扱い、複数社へのエクスポージャーを1つのトークン化商品に束ねるという発想だ。その方向で最も積極的な取り組みを行う企業の1つが、ヘクトコーン・ファイナンスである。同社は、いわゆる「ヘクトコーン(時価総額1000億ドル[約15.5兆円]超の未上場企業)」と呼ばれる少数の企業群で構成された指数を試験している最中だ。

「かつてはユニコーン、その後はデカコーンの話をしていた」と、ヘクトコーン・ファイナンスのウルタン・ミラーCEOは語る。「今や未上場企業が1000億ドル(約15.5兆円)規模の時価総額を持つ時代だが、ほとんどの人は依然として、その価値にアクセスできていない」。

次ページ > 巨大テック企業が形成する「未上場クラブ」として、ヘクトコーンが台頭

翻訳=江津拓哉

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