暗号資産

2026.02.04 11:30

一般投資家がスペースXなど「未上場の巨大企業」に投資できる未来、トークン化が拓くか

Costfoto/NurPhoto via Getty Images

数百兆円規模の価値へアクセスを解放する利点と、未整備な市場が抱える課題

利点は明白だ。トークン化は、これまで年金基金、有力ベンチャーキャピタル、ファミリーオフィス、政府系ファンドに限定されてきた資産クラスへのアクセスを、世界中に解放し得る。非公開市場には、一般投資家の手の届かない場所に数兆ドル(数百兆円)の価値が存在している。これから、こうしたレイターステージの未上場企業に対する、規制に準拠した、流動的なアクセスを実現した者こそが、「ウォール街」とそれ以外の間に位置する境界線を引き直すことになるだろう。

advertisement

流動性の欠如や法的複雑さ、構造破綻時の責任所在という未検証のリスク

しかし、リスクも現実的だ。未上場株式は流動性が低く、集中度が高く、法的にも複雑である。トークン化されたエクスポージャーは、保管、コンプライアンス、決済など、多くの領域において、二次取引に関する明確な法規制が存在しないという現実にも向き合わなければならない。さらに、構造が破綻した場合、最終的に誰が損失を負うのか、トークン保有者なのか、仲介者なのか、発行体なのかという点は、これまで法廷でほとんど検証されていない。

規制やコンプライアンスを前提に技術・法務・運用すべての層のインフラを設計、国境を越えた流通を目指す

ミラーは、だからこそ、後付けではなく、最初から規制を前提にインフラを設計する必要があると主張する。

「私たちは暗号資産ネイティブの投資家だけを相手にしているわけではない。ジャカルタの23歳が、チューリッヒのファンドマネジャーと同じ未上場のエクスポージャーにアクセスできる未来を作ろうとしている」と彼は言う。「だが、そのためには、技術、法務、運用のすべての層にコンプライアンスを組み込む必要がある」。

advertisement

その一環として、ヘクトコーン・ファイナンスは暗号学的な準備金証明を公開する計画であり、国境を越えた流通を支援するため、VARAと主要な欧州規制当局の双方の下での二重発行も検討している。

株式からトークン化された未上場アクセスへ、世代を象徴する資産クラスが変わる

実現するための方法論的な話だけでなく、ヘクトコーン・ファイナンスは、より広範な文化的変化にも触れている。20世紀の大半において、イノベーションは公開株のティッカーで測られてきた。だが今日、AI、フィンテック、宇宙、デジタルインフラを形作る多くの企業は、IPOまでに数年、あるいは数十年を要する。

「各世代には、それを象徴する資産クラスがある」とミラーは言う。「1980年代は株式、2000年代はテック系のIPO銘柄、2010年代は暗号資産だった。2020年代は、トークン化された未上場企業へのアクセスによって定義されるかもしれない。価値は公開前に創出され、所有はより早い段階から始まる」。

非公開と公開の境界線が曖昧になり、成長の果実が取引所外へ移る未来

ヘクトコーン・ファイナンスはまだ初期段階にあり、その待機リストには2万5000人を超える人々が登録している。トークンはまだ発行されておらず、オンチェーンで保有されている資産もなく、資本構成表や、市場投入に向けた完全なロードマップも開示されていない。それでも、PE大手がトークン化ファンドや二次取引の可能性を試す中、トークン化された未上場株式という分野に対する同社の初期の取り組みは、私たちや他のメディアが感じているような、より大きなモメンタムを反映している。

最初に実現するのがヘクトコーン・ファイナンスなのか、それとも別のプレイヤーなのかは分からない。しかし、彼らが進む方向は明確だ。より多くの成長が取引所の外で発生しており、投資家と規制当局は、その世界への入り口を探している。もし成功すれば、ヘクトコーン・ファイナンスは次世代の偉大な企業への新たな入り口を提供するだけでなく、「非公開」と「公開」の境界線を徹底的に曖昧にし、ティッカーが画面に表示される頃には、実質的な勝負はすでに終わっている、という状況を生み出すかもしれない。

数字で見る、トークン化の現状

・世界のユニコーン企業:1600社超。その時価総額の合計は約5兆ドルから6兆ドル(約775兆円〜約930兆円)

・上位100社のユニコーン:時価総額の合計は約2兆9000億ドル(約450兆円)、主にAIとソフトウエアが牽引

・オンチェーンの実物資産:その規模は2025年に約180億ドルから340億ドル(約2.8兆円〜約5.3兆円)。ここ数年で約10倍に増加

・トークン化された国債とマネーマーケットファンド:2025年後半時点で約70億ドルから80億ドル(約1兆円〜1.2兆円)

・トークン化資産に関する予測:2030年に最低でも2兆ドルから4兆ドル(約310兆円〜約620兆円)との予測。強気シナリオではさらに上振れ

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事