暗号資産

2026.02.04 11:30

一般投資家がスペースXなど「未上場の巨大企業」に投資できる未来、トークン化が拓くか

Costfoto/NurPhoto via Getty Images

ブラックロックなど資産運用大手が主導する、実物資産を中心としたトークン化の波

ヘクトコーン・ファイナンスの戦略は孤立しているわけではない。業界全体で、トークン化の静かな波が非公開市場へのアクセス方法をすでに変え始めている。

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ブラックロックのラリー・フィンクCEOは、トークン化を「市場の次世代のかたち」だと公言してきた。その第1波は主に、国債、クレジット、不動産といった実物資産に集中し、ブロックチェーンの基盤と規制された器を組み合わせた、分割所有の仕組みが特徴となっている。

PEの分野では、セキュリタイズのような企業が、KKR、ブラックロック、アポロ、ハミルトン・レーンといった運用会社と提携し、非公開ファンドの持分をトークン化してきた。彼らはトークン化を、「よりアクセスしやすく、透明で、効率的にすることで資本市場を民主化する」手段として提示している。同社がトークン化されたフィーダーファンドを立ち上げたことは、非公開市場における、機関投資家向けの大規模なトークン化の初期の試みの1つだった。

最低投資額を引き下げて個人へのアクセスを広げる、シンガポールの事例

シンガポールでは、ADDXのチュー・オイイーCEOが、トークン化によって最低投資額を約100万ドル(約1億5500万円)から、約5000ドル(約78万円)相当まで引き下げ、30を超える法域の適格投資家向けに、発行、保管、二次取引の自動化を提供できると主張している。

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米国とアジア各国における、トークン化資産に関する法規制の状況

国債などのトークン化証券に注力するオンド・ファイナンスは、トークン化証券を、より広範な「金融資産の変革」の一部と位置づけている。同社は2025年10月、米証券取引委員会(SEC)に宛てた公開書簡の中で、トークン化資産を別枠として扱うのではなく、「同一の活動、同一のリスク、同一の規制上の成果」という枠組みを採用するよう求めた。この姿勢は、SECが同社への調査を終了する中で、トークン化された国債やクレジットがオンチェーン商品として成立し得ることを裏付ける一因となった。

他の地域も同様の動きを見せている。韓国は資本市場法と電子証券法の改正を発表したほか、シンガポールは証券先物法(SFA)の下でトークン化資産を規制し、香港はトークン化を証券先物条例(SFO)の枠組みに統合し、日本は金融商品取引法の下でトークン化証券を規制している。

すでに実運用されるインフラと、2030年に向けた数百兆円市場への予測

ヘクトコーン・ファイナンスが狙うのは、上場前の巨大企業というハイリスク・ハイリターンの領域だが、そのインフラはすでに実運用の規模に達している。セキュリタイズは一流のパートナーとともに規制に準拠したトークン化ファンドを運営し、ADDXはアジア全域の適格投資家にサービスを提供し、オンド・ファイナンスは米国での登録を取得しつつ、トークン化された国債や証券のネットワークを構築している。これらの例は、流動性を持ち、規制にも準拠する、トークン化された債券、クレジット、分散型ファンドが機能し得ることを示してきた。一方で、その枠組みをレイターステージの未上場企業へと拡張する際には、資本の構成、譲渡制限、そしてオンチェーンで未上場株式を「保有する」とは何を意味するのかといった点に関する、より難しい問題が提起される。

2025年時点で、オンチェーン上の実物資産の規模は約180億ドルから340億ドル(約2.8兆円〜約5.3兆円)に達しているが、トークン化された未上場企業の株式へのエクスポージャーは、数兆ドル(数百兆円)規模の市場全体から見ればごく一部にすぎない。これは、ヘクトコーン・ファイナンスによる試みがいかに初期段階にあるかを示している。あるアナリストは、2030年までにトークン化資産の規模が最低でも2兆ドルから4兆ドル(約310兆〜620兆円)に達すると予測するほか、規制やインフラ次第では、さらに高い水準も見込まれている。

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翻訳=江津拓哉

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